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奥田麻里子-05 [F組三国志-02]

「ボス、おはようございます。」
「岡崎、ボスはやめて!」
「姉御、今日もお元気そうで何よりでやんす。」
「星屋もね…。」

 はぁ~、岡崎は…、トレードに出せるなら出したいわね。
 星屋は…、星屋は少し変わっている、おたく系で疲れることもある、でも、今回は頑張ってくれた気がする…。
 岡崎、平岩、田中と面倒みてくれ、単にお遊び気分だけで企画に乗ってくれてた訳ではないと思う、私の指示ですぐ動いてくれてたし…。
 頭は悪くないのだろうな…、でも、よく分かんない奴なのよね。
 今度、省吾さんたちに話してみようかな。

「おはよ、奥田さん、なにぼ~っとしてるの?」
「あっ、鈴木くん、おはよ…、ちょっと考え事しててね。」
「はは、その上履き、誰のかな~。」
「あ~、いっけな~い、え~っと私のは…。」
「チームメンバーからは姉御とも呼ばれるお方がね~。」
「あ、あれは、星屋…、星屋くんが勝手に呼んでるだけで、私は、そんな…。」
「奥田さんが頼れるリーダーだってことなのだろうな。」
「そんなことは…。」
「そんなリーダーに、ちょっとお見せしたいものがあってね。」
「何?」
「えっとね、あっ、哲平だ、お~い、哲平。
 哲平にも見て貰いたくてさ。」
「おはよう、なんだい?」
「こんなの作ってみたのだけど、どうかな?」
「どれどれ…、あっ、F組の勢力図?」
「第一回数学小テスト団体戦の結果を簡単なイメージ図にしてみたんだ。」
「チーム麻里子が目立ってるのね、あら、メンバー全員の名前を入れて…、あらら、チーム哲平とチーム正信、小さ過ぎない、メンバーの名前、文字が小さくて…。」
「団体戦の結果をデフォルメしてみたってとこ、ちょっと面白くないかな、これを見て俺たちは、打倒『チーム麻里子』で団結するって感じでさ。」
「良いね…、はは、真ん中のハートは、笑えるな。」
「よね~、まあ確かに美咲と省吾さんの名前がここになかったら嫌だけど。」
「でしょ、後、これにタイトルを付けたいと思うのだけど、第一回数学小テスト団体戦ではちょっと味気ない気がしてさ。」
「そうだな…、F組三国志ってどうだい?」
「三国志か…。」
「で…、このマップは、え~と第二シーズンってことかな?」
「えっ? 第一回じゃないの?」
「ああ、うん、二人にも知っておいて欲しいことなんだけどね。」
「うん。」
「ことの発端は、美咲が省吾にF組のいじめについて相談したことに始る、でね…。」

 そうだった、美咲が省吾さんと付き合い始めた頃に聞いたな。
 いじめないグループ作りだったっけ。

「で、遠足の企画でさ…。」

「そうか、班がすぐに決まったのは、哲平のグループと秋山さんのグループが裏で動いていたからだったのか。」
「鈴木には黙っててごめんな。」
「いや、気にしないでくれ。」
「有難う、で、結果としてだな。」
「うん、それは俺にもわかるよ、最近は森も大人しくなったと言うか、大人しくならざるを得なくなったと言うか…。
 富岡は俺のグループに入りたいって言ってきてるし、平岩はすでに麻里子さんのところだから、あいつの仲間って誰が残ってる? 
 今、下手に目立ったら、いじめられるのは自分の方だって分かってるのじゃないか。」
「だよな、何にしても、遠足以降、団結力が高まったF組という訳だけど、始めに省吾から話しを持ちかけられた時、あいつは三国志みたいになんて言ってたんだ。」
「そういえば省吾、今回の小テスト団体戦でも三つのグループにこだわってたわね。」
「なんでもバランスが取り易いそうだ。」
「そうか、じゃあ、F組の勢力図も、そこから作ってみるかな?」
「まぁ、そっちは微妙な部分もあるから、このF組勢力図のタイトルをF組三国志にして完成させてくれないか。」
「そうだな、遠足前後の事は、F組三国志の序章と考えておくよ。」
「序章か、序章が一番面白かったという事にならない様に頑張らないとな。」
「ああ、第二回小テスト団体戦で、勢力状況がどう変わるのか、その後の定期テストでと皆が思い、励みになる様にして行きたいね。」
「ふふ、チーム麻里子しか見えなくなるんじゃない? 他のチームは虫眼鏡を使って探して下さいってことになってね。」
「はは、俺を甘くみるな、顕微鏡サイズまで縮小されて泣くなよ麻里子。」
「ははは、そうなったら、俺がなぐさめてあげるかな。」
「おいおい、鈴木はそっちに付くのか、打倒チーム麻里子で団結しないとやばいかもしんないのに。」
「あいにく俺はフェミニストでね。」
「そ、そうか、ならばまとめて倒してやる。」
「ふふ、競ったり協力したり…、そうだ鈴木くん、これは完成するまで、省吾と美咲には内緒ね。」
「うん、了解、真ん中のハートをもう少し印象的にしたいしね。」
「あいつら開き直り過ぎだよな、からかう気もおきなくなってきた。」
「そんな二人にした張本人は、哲平じゃないの?」
「いや、麻里子でしょ。」
「ははは。」

 F組三国志か…、私たちの青春の一ページがそこに刻まれて行くってことなのかな。
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