SSブログ

河西哲平-01 [F組三国志-01]

「お~い、哲平、ボールとってくれよ。」
「おう、いくぞ。」

 バスケも久しぶりにやると面白い、まあ体育レベルの球技なら、何をやっても楽しいけどね。
 部活のラグビーは好きだけど厳しくもあるからな…。
 あっ、省吾。

「さすが哲平だな、バスケもうまいじゃん。」
「まあな、そういう省吾もなかなかじゃないか。
 さっきは絶対抜けるって思ったのにさ。」
「はは、たまたまだよ。」
「たまたまね、お前はただのガリ勉かと思っていた。」
「よせやい。」
「手は早いしな。」
「え?」
「秋山のことだよ。」
「ああ、あれは完全に偶然、自分でもびっくりしてる。」
「秋山って知的美人だよな。」
「なんだ、お前も狙ってたのか?」
「当たり前だろ、美人なだけでなく性格も良さそうで。」
「哲平なら女子には不自由しないのだろ。」
「はは、まあ、選ばなければな。」
「このモテモテ野郎が。」
「でも誰でも良いという訳ではない。」
「確かに。」
「どういうきっかけを作ったんだ?」
「きっかけか…、きっかけは向こうからやって来た。」
「ふ~ん。」
「でさ、哲平に頼みが有るのだけど。」
「何だよ。」
「彼女とのきっかけはクラスのことでさ。」
「あっ、学級委員長だったな、彼女。」
「ああ、クラス内のいじめ問題を持ちかけられてね。」
「いじめ?」
「そうか、そういえば哲平って休み時間、あまり教室にいないよな。」
「ああ、中学から仲の良い奴が隣のクラスでさ。」
「まあ、ちょちょいとやってる奴がいるわけよ、F組には。」
「そうか、それは良い気しないな。」
「うん、で、何とかならないかって相談されてね。」
「なるほど、何とかしないと男がすたるってことか?」
「まあ、そんなとこだ、それで頼みがあるのだけど。」
「ああ。」
「グループを作って欲しいんだ。」
「グループ?」
「うん、まだ、F組はバラバラの状態だと思う。
 今は仲良しグループ的なのがあっても小さいが、このままいじめっ子たちがグループを形成し始めると大きくなってしまう可能性が有る。
 でも、今の内にいじめないグループを作っておけば、それを防げる可能性が高まるだけでなく、F組が楽しいクラスになると思ってね。」
「そうか…、そんなこと考えてなかった。」
「哲平なら男女問わず人気が有るだろ。」
「はは、照れるなあ~、でもお前らで、そのグループ作れば済むことじゃないのか?」
「それじゃあ限界が有るし、色々な選択肢があった方が面白い。
 美咲たちのグループと哲平中心のグループとが、競いあったり協力しあったら、クラスが盛り上がると思ってね。」
「う~ん、そうか…、俺の中三の時のクラスは結構まとまっていて楽しかった。
 ここに入学して、少し違和感を感じているが…。」
「何も堅苦しいグループを作る必要はない、俺も協力するから考えてみてくれないか。」
「ああ…、協力…、そうだ、省吾って数学得意だよな。」
「まあ苦手ではない。」
「俺、だめなんだよ、教えてくんない?」
「はは、交換条件ってことか、それぐらいならお安い御用だよ。」
「部活やってるとどうしても時間が足りなくなりそうでさ。」
「そうらしいな。」
「部活の先輩たちは、一浪して上を狙うか、それなりに妥協するかの二者択一だって言ってる。
 でも、妥協するにしてもそれなりのところへ入りたいじゃないか。」
「うん、今回の企みは、その辺も考えているから考えがまとまったら話すよ。」
「分かった。」
「とりあえずは、仲良しグループ作りを考えてみてくれるか?」
「ああ。」
「それでさ、ゲーム感覚で…。」

 へ~、省吾って、もっと付き合いづらい奴かと思ってたけど、面白いことを考えるのだな。
nice!(8)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 8

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。