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河西哲平-02 [F組三国志-01]

「なあ省吾、今日の数学、よく分からなかったのだけどさ。」
「そうだな、中学生の頃とは色々違う、でもポイントを押さえて行けば決して難しくはないんだ。」
「この辺りだけど…。」
「うん、ああ、これはね…。」

 えっ、そんな簡単なこと?
 数学の先生より省吾の説明の方が分かり易いじゃんか。

「サンキュー、なんか先生の話を聞いて難しく考え過ぎていたよ。」
「はは、あの先生は簡単な事を難しそうに話す傾向が有るからな。
 まあ俺は先生の話を聞く前に理解してるから、あんな分かりにくい説明は必要ないけどね。」
「師匠と呼ばせて下さい。」
「ははは。」

「あらっ、昼休みに二人でお勉強?」
「美咲。」
「おっと、おじゃまかな?」
「よせよ、それより、哲平、この前のこと考えてくれた?」
「ああ、だから気軽に数学の質問をさせて貰ったのさ。」
「へ~、どういうことなの?」
「哲平中心のグループ。」
「交換条件に俺は省吾から数学を教えて貰う話しをしてね。」
「あっ、私も教えて欲しい、今日の数学よく分からなかったの。」
「ははは、先生より省吾の方が分かり易いぞ。」
「ほんと?」
「さてね、まぁ近い内に勉強会でも開くかな?」
「やろ、高一から進学塾なんて行く気なかったけど、今日の授業聞いてたら不安になって。」
「そうか、あのせんせ、進学塾から金貰ってるのかも、なあ省吾。」
「はは、有り得ない話しじゃない所が怖い、その内進学塾の案内なんか配り始めたりしてさ。」
「まさか、そこまではしないでしょう。」
「ははは。」
「そうそう、グループの話しは省吾から聞いて考えているけど、遠足はどうなってる?」
「遠足と言っても、まぁクラスの親睦を深めるって程度の簡単なもの、でもそこが重要なのよね。」
「そのグループ分けって明後日?」
「うん。」
「幾つのグループに?」
「そうね、一グループ五人、八つでどうかしら?」
「うん賛成、省吾は?」
「問題ない、高校生にもなって大勢でぞろぞろ歩くことに抵抗感を覚える奴もいるだろう。」
「だよな、それでさ、林徹と黒川淳一とは話が合って良く話すのだけど、この二人、微妙に対抗意識があってさ。」
「ああ、分かる気がする。」
「俺含めて三人がリーダーになりメンバー集めをしたら面白くなるかも。」
「もしかしてゲーム感覚ってこと?」
「うん、秋山さん、省吾から提案があったからね。」
「どんなゲームに?」
「まずは人数集め、自分以外に四人集められなかったら負けだ。
 次は女子の人数、野郎三人で競うのだから当然でしょ。
 ただ、これだけじゃゲームとしての面白みに欠けるかな。」
「徹だと、かわいい子はポイントが高いとか言い出しそうだね。」
「うん、それだと省吾たちの思いとずれてしまう。」
「メンバーたちが遠足を楽しめたかどうか、遠足の後でアンケートをとって、それでポイントをつけたらどうかしら?」
「それなら、秋山派でも、女子の人数では競えないけど…、麻里子さんならリーダーやってくれそうだろ、後は美咲と俺とでこっちも三つのグループを作るか?」
「おいおい彼女と別で良いのか?」
「はは、まあ行く先は同じにするよ。」
「と、いうことは六グループが同じとこで集合ということも有るのね?」
「うん、残りの二グループにも声を掛けておけば、問題ないだろ。」
「グループ分けうまく行くかしら?」
「そうだな、まずは自由に集まり、五人揃ったところから固まって座って貰えば良いだろう。
 俺は残りそうな人を中心にゆっくり集めていくよ。」
「省吾、ぴったりにならなかったら?」
「四人でも六人でも良いと思う。」
「そうね、五人でなきゃいけない理由はないわ、後は森くんたちがどう動くかかしら。」
「ああ、パシリとかで狙われそうな連中は早めに俺たちのグループに引き入れないとな。」
「私も気をつけるから、河西くんもお願いね。」
「まぁ任せときなって、根回しして置けば話が早くなると思うよ。」

 はは、省吾じゃないけど、秋山さんからお願いされたら断れないわな。
 でも、高校ってこんなことを真面目に考える奴なんていないと思っていたけど、なかなかどうして、また中三の時みたいに出来るかもしれない。
 まずは徹と淳一に話して、後は…。
 ふっ、たかが遠足が楽しくなって来たぞ。
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