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大銀河帝国-13 [シトワイヤン-33]

キャッシーが用意した最新式の大型飛行船はファルコン号と名付けられ、気象条件さえ良ければ長時間飛行を続けられる。
補給用小型飛行船を簡単にドッキングさせられるので地上に降りる必要は少ない。
その小型飛行船は、すでに中南米で七機が遊覧飛行や宣伝飛行を行っていて、ファルコン号のサポートにも当たる。
姫さまの中南米歴訪に向け、飛行船の地上基地を各地に建設したのは、この小型飛行船の運用とファルコン号の姉妹機を観光目的で就航させる為でもある。
豪華客船による海の旅と飛行船を利用する空の旅を組み合わせることを可能にする為、地上基地は港の近くにも建設された。
ファルコン号の雄姿を見れば誰もが飛行船の旅をしてみたくなるだろう。
このファルコン号には隼の為の部屋が有り、姫さまに贈られた隼がこの機体のシンボルともなっている。

「お姉ちゃん、飛行船はヘリと違って静かなのが良いね。」
「気に入った?」
「うん、低速航行時は室外デッキで遊べるでしょ、隼が部屋にいる時は地元の鳥が来てくれて、昨日は珍しい鳥に出会えたとカメラマンが喜んでたのよ。」
「のんびり空の旅というのは飛行機では味わえない感覚よね。
キャッシーが造らせたから、客室は豪華ホテル並み、オフィスとしての機能も充実していて、ずっと暮らすのも有りかしら。
今回の旅で問題が無ければ、アフリカにも飛行船の地上基地を展開して行く計画だけど、アフリカで野生動物を保護してる団体からは舞姫さまに早く来て欲しいとね、前向きに考えるとは伝えて貰ったけど、どう?」
「アフリカは問題が多くて…、そうね、人間の前に野生動物の保護を優先させたいかも。
人間に対して支援を行うと、人口が増え過ぎてしまいそうでしょ」。
「そうよね…、和馬さんは人口問題の先に、人類が宇宙へ移住して行く可能性を話してたけど、万里はどう思う?」
「地球の環境がこの先どうなるかは分からないよね。
住環境の悪いエリアではドームで覆われた都市を真剣に考え始めている、ならばその都市を、もっと過酷な宇宙空間や月や火星に造っても良いとは思うかな。
当然莫大な費用が掛かるけど、軍事費を減らして経済活動を活発にして行けば出来なくはないし、新たな雇用の場を生み出すことにも繋がるのよね。」
「万里は宇宙で暮らしてみたいと思う?」
「宇宙と言っても、まだ可能なのは地球の表面みたいな所でしょ、う~ん、短期の滞在なら楽しめるのかしら、でも長期間は飽きると思わない?」
「そうね、今の国際宇宙ステーションの規模では窮屈だろうし。」
「それでも、月の地下に月の資源を利用した宇宙船を建造出来るような工場を作れたらとは思うの。
平和な暮らしに満足出来ない人達のフロンティアスピリットを満足させる為にもね。」
「どんな資源が有るのかにもよるのでしょうけど、このまま地球が平和になって行けば、それぐらいの余裕は出来そうね。
まずは各国の月基地計画がどう進んで行くのかだけど。」
「大銀河帝国としては地球の環境改善に予算を回したい、でも、どちらも大規模な事業、それで世界の雇用状況が改善されて行くのなら積極的に進めて行きたいかな。」
「そうね、大銀河帝国中央研究所の状況を確認して、各国政府の方針も聞いてみるわ、大銀河帝国の方針を固めて行くべきでしょ。」
「うん、今までは中東関連に目を向けて貰って来たけど、次のステップだけでなく、その先も見据えて行かないとね。」
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