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大下穂香-20 [化け猫亭-14]

「高川組長、防犯カメラと監視カメラは違うのですか。」
「防犯に興味が有るのかい?」
「は、はい、少し…、藤沢組でも何か進んでいるのですよね。」
「話しても良いが…、軽はずみに人に話す様なら口封じの対象になる、その覚悟は有るのか?」
「え~、そんな怖い話なのですか?」
「ああ、聞いたら後戻り出来ない。」
「そ、それでも…、好奇心には勝てません…。」
「君は長生き出来そうにないね、藤沢組で開発中のシステムは個人のプライバシー保護を考えたら少しグレーなんだ、法的な問題も有る。」
「そんなのを藤沢組で?」
「あれっ、知ってたみたいな反応だね、もっと驚くと思ってた。」
「い、いえ、防犯の為の監視行為とプライバシー保護は今までも問題になって来たではないですか。」
「まあな、猫田組長は防犯の為の監視システムは必要だと考えていらしてね、化け猫組が全面協力なんだ。」
「大丈夫なのですか?」
「このエリアで構築中なのは空き巣対策や薬物関連、一部の店舗では万引き対策もね。
防犯カメラはその場の記録映像を残すだけだが、藤沢組の監視カメラは、映像から過去のデータと照合し要注意人物を見つけ出すだけでなく、挙動の不自然さから過去のデータに無くても犯罪に及ぶ可能性や万引き、薬物中毒の可能性を判断していてね。
コンピューターが解析した結果は監視担当者に送られ、その判断によっては店に対して注意喚起を行ったり警察への通報も有る。
穂香ちゃんも、家に帰り就く前の道端で服を脱いだりしてると挙動不審として監視対象になるよ、それが法に反する行為というのも有るが保護の必要性が有るからね。」
「そ、そんな事しません。」
「飲み過ぎてとか無いの?」
「有りません!」
「なら良いが。」
「でも、どうして服を脱ぐ話になるのですか?」
「監視テストを始めた頃に泥酔してやらかした子を見つけてね。
化け猫亭に近かったから、すぐ連絡が入ってスタッフが保護したんだ。
正気に戻った本人はどうして服を脱いで直ぐ保護されたか全く分かって無いままにして有る。
彼女は失恋のショックだったそうでケアをしているのだよ。」
「あっ、プライバシーの保護と個人のケア…、あまり公に出来ない側面が有るのですね。」
「実はここからが本題でね、最近、化け猫亭周辺で不自然な動きをしている人物が何人か確認されていてな、一人ずつ所属を照会しているんだ。」
「どんな人達なのです?」
「週刊誌関係や暴力団関係と分かって来てる。
君はテレビにも映っていたからか、後を付ける輩がいてね。
一応ストーカー行為を行ったとして、君の父上が防犯カメラ映像を添えて警察に相談したんだ。」
「あっ、先日父に見せられた写真の人物ですか…、全く知らないと答えておきましたが事情を教えて貰ってなくて、その後どうなったのです?」
「簡単には罪に問えないが、多少自粛するだろう、また尾行する様なら監視カメラに引っ掛かり易い様にそいつの監視レベルを上げて有る、その時はすぐにストーカーとして猫田組が確保し警察に通報。
芸能人でもない女の子の後を付けたという実績が有るからね、もっとも、奴はすでに化け猫亭の担当から外されているかも知れないが。」
「そうなると代わりが来るのですか?」
「かもな、でも、化け猫亭を見張ってる様な奴等には小さな不幸が降りかかる事になっていてね、暴力団関係者と週刊誌関係の張り込み担当が揉めたら楽しいだろ。」
「何か企んでいるみたいですね。」
「仕掛けを用意して、今度猫田組長と加奈さんが来る日に試す事になってる。
CAT'S TAILで相談している奴がいてね、CAT'S TAILには一般客の会話は完全にスルーだが、監視システムで引っかかった奴らの会話は自動で盗聴するシステムが導入されているとも知らずに色々話してくれ、奴等のメインターゲットが猫田組長と加奈お嬢さまだと分かっているんだ。」
「盗聴とは…、かなりグレーなのですね。」
「相手は盗撮目的と確定出来てるのだよ、週刊誌ネタを狙ってる奴らと、猫田組に対する今後の方針を見定めたいと見張ってるチンピラが仲良くなられては迷惑だから、早めに手を打つ事になったのさ。」
「でも、どうやって?」
「それは知らない方が良いそうで私達も知らないんだ、ただ、警察には相談して有りタイミングを合わせて巡回に来て頂く話が通っているらしい。」
「何が起こるか見てみたいですが、その日は多分出勤日で見学出来ません。」
「そういう子だけに教えているんだ、他の子には絶対秘密にしておいて欲しいし、念の為、遅刻する様なら欠勤してくれな、店の中は安全だから。」
「お客様方は大丈夫なのですか?」
「連絡済だよ、当日は化け猫組で貸切になっているしね。」
「なんか怖いような楽しみな様な…。」
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