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大下穂香-19 [化け猫亭-14]

「本間さんとしては今後の展開をどう考えてみえるのですか?」
「そうだな、化け猫亭で研修させて頂いてる間に彼女を作って…。」
「いえいえ、そういう個人的な展開ではなく。」
「はは、猫田組披露パーティーまでに藤井を組長、自分が若頭という組を立ち上げるよ。
幹部三人との五人がメインだが、イベントを手伝って貰ってる連中と、副業を本業にする為の準備にも組員を預からせて貰う。
まずは五十人ぐらいでスタートして、そのまま猫田組本部から細かい作業を引き継いで行くんだ。
猫田組長の周りはスリムにしとかないとだめだろ、組長は社長業と兼務しながら司法試験を目指されているし普通に大学を卒業して頂きたいんだ。」
「それって、猫田組の中心的な…、え~っと下部組織になるという事ですか?」
「ああ、藤沢組、松尾組、化け猫組と同列に扱って貰う、勿論当分の間研修は続くのだけどね。」
「建設業や農業、風俗店などはどうなるのです?」
「建設関係の会社はうちと同格、他はもう少し組織を固めてからの判断と決まったよ。」
「風俗店は暴力団から目を付けられたりしていませんか?」
「まだ目立った動きはない、だが、こちらから暴力団弱体化をこっそり仕掛ける、ばれたら刺されるかもな。」
「そんな危険な事をして行くのですか?」
「ばれなきゃ良いし警察とは良好な関係を築いているよ。」
「心配です。」
「まずは情報収集、暴力団の収入源を探っているんだ。
その情報を元に収入源をじわじわ圧迫して行く、警察には出来ない手段を使ってね。」
「どんな?」
「それは秘密、違法では無いが、相手がそれを知ったらアンフェアだと感じるレベル、違法行為をして来た連中相手だから心は痛まないのだが、その結果、組員の一部が組を抜けて猫田組で面倒を見るというパターンも想定していてね、出来れば知られたく無い訳、あっ、君には話し過ぎてしまった、ちょっと口封じの必要が生じてしまったのかな。」
「だ、大丈夫です、誰にも話しません…。」
「そうか、その言葉を信じるが、もし暴力団の資金源に関する情報を耳にしたら、誰かに話す前に俺に話して欲しい、組内でも限られた人しか知らない事だから、化け猫組の人で有っても軽はずみに話さないでくれな。」
「わ、分かりました…、そんな情報に接する機会はないと思いますが…。」
「まあそうだろうが、我々が元暴力団員を受け入れて行くという事はリスクを伴う、気を付けてくれな。」
「はい、父も少し心配して帰りは一緒に帰っています、近いのですけどね。」
「それが良い、大下さんの家までは防犯カメラというより監視カメラを設置して有って、藤沢組でシステムの向上テストをしているけどね。
家までは見られていると自覚して、いきなり服を脱いで全裸、とかならないでくれよ。」
「な、なりせんよ~、でもこの辺りより風俗店の周りでテストした方が良いのでは有りませんか?」
「勿論向こうでもやってる、でもこのエリアは空き巣対策等をテストする意味合いも有るのさ。」
「それも猫田組の活動なのですか?」
「ああ、藤沢組では防犯システムを売り出す事を念頭に開発を進めているんだ。」
「藤沢常務としての表の部署ではなく、あえて藤沢組なのですか?」
「少しグレーな部分が有ってね。」
「えっ、これ以上は聞かないでおきます…、藤沢組は災害復旧支援関連でもシステムを構築していますよね、それだけの作業には優秀な組員がかなり必要だと思うのですが。」
「藤沢組では普通に社員を募集しているって知らなかった?」
「知りませんでした…、あっ、松尾組が猫田組の安定した資金源になる様にと立ち上げた会社のサポートもしてましたね。」
「待遇の悪い会社から人材は流れて来ているのですよ、俺たち半端者だけでなくね。」
「本間さんは自虐的に半端者と話されますが、全然半端者とは思えません。」
「はは、照れ隠しですよ。」
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