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大下穂香-17 [化け猫亭-14]

「高川組長、化け猫組は組長や若頭も含めて十級組員からスタートと聞きましたが。」
「ああ、残念ながら組長と言っても特別な権限はないんだ、給与ランクも最低というか会費を払うクラブ活動みたいになったよ。
猫田組のネタで盛り上がるのが活動、雑事は本間くん達に丸投げだから、その費用を会費でね。」
「まずはそういう形での支援ですか。
本間さんはかなり優秀だそうですが…、二十三歳の本間さんと十七歳の藤井くん、小夜さんは藤井くんを上の立場にしていました、彼はどう思っているでしょう?」
「それは本間くんの考えでも有るんだ、これからの拡大を考えた時、公募で集まった組員のトップが十七ならインパクトが大きい、でもちゃんと年長者として本間くんがいる、バランスを考えているんだ。
藤井くんは年長者を立てる、本間くんはサブとしてリーダーを立ててるよ。」
「二人を中心に組織化が進んでいるのでしょうか?」
「いや、他にもリーダー研修を受けている人は何人もいて、そのメンバーで別の動きもしているそうだ。
私が思っていたより優秀な人が多いみたいだよ。
藤沢組に配属が決まった子は中学から引きこもっていたのだが、凄い勢いで学習しているそうだ。」
「始めは百人って多いと感じましたが、活動の広がりを考えると足りなくなりそうですね。」
「教育体制が整ったら随時募集していく事になるだろう、猫田組傘下の組を各地で立ち上げて行きたいしな。」
「化け猫組の傘下に入れる組は出て来ますか?」
「まだ検討中、加藤くん達二人をパシリとして預かっているが、歌と雑用で化け猫亭からお金を受け取っているレベルだからな。」
「化け猫亭から給料という形ですか?」
「いや、化け猫亭から猫田組に支払って、彼らは猫田組から給料を受け取るという形、所謂派遣労働だが、加藤の場合自分の給料分をぎりぎり稼いでいるかどうかでね、それでは組に貢献してないも同然だろ。
せめて自分の給料の倍ぐらいは稼げる様にならないとね、それでも最低ラインなのだが。」
「見ていて危なっかしいですものね、まだ大人の常識が理解出来ていないみたいで、でも歌は初めて聴いた時より良くなって来ていると思います、選曲の意図は分かりませんが。」
「今は歌唱指導をしながら色々な歌を歌わせて探っている段階なんだ、そこから彼が自分に合った歌を見つけてくれたらね。」
「もう一人の佐藤くんは雑用専門なのですか?」
「いや、彼には店舗運営を教えているんだ、いずれは店長、更に多くの店を統括する様な組の組長を目指せと話している、マスターや桜さんもそのつもりで接しているよ、本間くんの推薦なんだ。」
「そうでしたか。」
「猫田組で買収した会社には十人の組員を送り込んで、先輩社員と共に土木作業を始めただろ、そこでもリーダー格は若手、体力だけが取り柄の出所者を達をまとめているそうだよ。」
「社名は猫田組になるのですか?」
「株式会社猫田組の一部門になるからね、吸収合併の形になるんだ。」
「元からの社員も組員になるのですか?」
「社員でも組員でも同じさ、先行き不安だった会社が吸収合併された事で喜んでいるそうだよ。
株式会社猫田組の資本金は大きいからね。」
「大株主が松尾さんですから安心でしょうね、猫田組長もテレビで見ているでしょうし。」
「組員達は皆安心して研修や実務に励んでいる、特に本間くん達リーダー研修を受けてる連中は凄い勢いで知識を吸収しつつ、成果を上げ始めているんだ。」
「そうですか…、本間さんとは顔を合わせる事は有ってもお話をする機会がないのです…。」
「穂香ちゃんのタイプなのか?」
「そんなんじゃないです~!」
「顔が赤くなったが…。」
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