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大下穂香-16 [化け猫亭-14]

「はい、少しですが昇給もしています。
研修生達の励みになりますし、上の立場になると責任も重くなるとの理解に繋がっています。」
「やくざの世界の事は良く分からないのだが、どんな名称?」
「組長、若頭以外はやくざから離すつもりで検討中です、今の所は、部長、課長、係長で…。
藤井と本間には、取りあえず係長見習いになって貰いました。
会社組織とも違う名称にしたいのですが、誰の目にも上下関係が分かりつつ一般の組織とは違う事も示したいのです。」
「確かに難しいな。」
「研修生は兎も角、前科者達はどうなの?」
「それぞれの力量によって平から部長まで分けました、今は係長見習い補佐が提案されています。」
「それはそれで面白くは有るが複雑になりそうだね。」
「一級組員とか組員初段とかどう、五級組員は係長に相当するとか。」
「一級組員をかなり高い存在と思わせておいての有段者か…、大きな功績を上げたら…、そうだ、大きな功績でなくとも、災害支援を提案した男、藤井五級組員とか。」
「いや、藤井くんから見習いが取れたら藤井組五級組長で良いんじゃないのか、小さくても組長を目指せ、猫田組への貢献度等でその序列を決めたら良い。」
「猫田組長如何です?」
「その方向で考えて貰います、給料ランクとは別にしますが、それで化け猫組の組員はどうします?」
「十級からスタートして有段者を目指すか…。」
「別の組員とは違う独自の昇級昇段規定をこれから考えて行こう、高川組長宜しいですね。」
「ああ、まずは若頭を決めて…、うちのパシリとして鍛えたい研修生は加藤くん以外にはいないのかな。」
「研修生の情報は見て頂けましたか?」
「面接風景映像は楽しく見させて貰ったが、あれだけではな。」
「本間、しばらくここへ通いなさい、代金は私が持つが飲み過ぎる事なく、化け猫組を理解するのです。」
「分かりました、ここのお客様方には義理が有ると心得ております、きっちり化け猫組で学ばせて頂き、何か有れば義理をお返し出来るようにしておきます。」
「高川組長、本間はうちの大学の卒業生です、宜しくお願いします。」
「猫田組長の先輩でしたか…。」
「自分は就職してから数か月で退職した半端者です、パシリと思って何でも命じて下さい。
藤井は十七になったばかりですので、夜の店は私の方が適任なのです。」
「本間、店内でいちゃつくのは禁止だが、真面目な恋愛は自由だからな。」
「は、はい…。」
「はは、女の子達の瞳が何時もより輝いているな。」
「本間くんも色々有った様だね。」
「はい、就職してからの人間関係に疲れてしまいまして。」
「色々な話が聞けそうだ、私達もおごるから毎日来てくれて構わない、猫田組長、ここでの時間は彼にとって労働時間に含まれるのかな。」
「本間、好きにして良いぞ。」
「労働時間な訳ないです、ただ自分も学習の為の時間を確保したいので適度にお願いします。」
「そうだな私達も君がこの店で過ごす時間をより有益なものにしたい、早めに来て、酔っ払いが増えたら帰れば良いさ。」
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