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大下穂香-15 [化け猫亭-14]

「加藤の歌は如何でしたか?」
「なかなか上手いじゃないか。」
「ああ、良かったよ」
「加藤は性格的な問題が有りまして、組長命令で歌わせています。」
「加藤くんは、歌に関してどう考えているの?」
「歌いたい気持ちと恥ずかしさが入り混じっています…、自信がなくて…。」
「成程、場数を踏ませるべきだな。」
「高川組長、化け猫組でも後押ししましょう。」
「はは、そう来たか、猫田組長、加藤くんをうちで預かるという事も有りなのですか?」
「構いません、経理的に猫田組は傘下も含めて統一して行きます、傘下の組と言っても企業で言う所の部や課に過ぎませんので、化け猫組の皆さんは基本的に名前だけで貢献して頂ければと考えていますが。」
「では、猫田組長に何か有ったら全力で支えさせて頂くという事で宜しいでしょうか。」
「有難う御座います。」
「義兄弟の杯とか交わすのか?」
「ああ、どうせやるのなら、一つのイベントとしてやらないか、猫田組を世に知らしめる意味でも。
優良企業の関係者がその傘下にいるのだと示すべきだろう。」
「ホテルの大広間を確保してテレビ局も呼ぶか。」
「大きいイベントを通して、若いスタッフ達の研修にもなりますね、猫田組長如何です。」
「お任せします。」
「皆さん、猫田組の中で化け猫組のポジションを明確にしておきたいと思いませんか?」
「メインでは加奈お嬢さまを支えて行きたい、資金面は松尾組に任せておきたいかな。」
「しばらく様子を見て、我々が何をすべきか考えてみましょう、まずは猫田組披露イベントを担当ですね、猫田組長、若い衆をお貸し願えますか?」
「はい、藤井、本間、化け猫組の担当者が決まったら連絡を取り合って調整なさい、若頭に報告出来るか?」
「はい、若頭にイベントの概要を説明させて頂き、研修生の中から何名、誰を出すか相談します。
自分か本間が担当になっても宜しいですか?」
「そうだな、これから色々なイベントを企画していく事になると思う、この企画はチーフ藤井、サブ本間で行こう、組織作りの研修は済んでいるか?」
「はい、研修期間中の組織を仮では有りますが完成させました。」
「ならば複数の担当をこなせるな?」
「大丈夫です、すでに実動部隊のリーダーを頭に描いています、後は企画の規模に応じて人数を調整し運営組織を作ります。
本間をサブにして下さったので、彼に教えて貰いながら、指示をし報告を受けます。」
「よし、化け猫組の皆さんからも色々学ぶのだぞ。」
「はい、組長。」
「それでは、皆さんから質問が有れば受けます。」
「藤井くんは高校中退なの?」
「はい、学校に馴染めなくて。」
「それでも集団のリーダーなんだね。」
「学校は変に平等な所と変なカーストが有ります、そこに教師がいて、集団として楽しい場所では有りませんでした。
でも、猫田組は実力が有れば上に立てます、上下関係が明確ですから不器用な仲間を支える事も出来ます。」
「そういう視点が有るのか…、上下関係は下の者にとってもプラスになると思うのか?」
「はい、勿論上に立つ者の力量によりますが、猫田組長は大きな心で自分達を見守って下さいます、自分もリーダーとして組長に恥じぬ働きをしたいです。」
「そうか、普通の会社組織ではなく、やくざ組織の体だからこそそれが自然に出来るのかな。」
「研修生のほとんどが年上ですが、研修スタート時に年齢関係なく横一線からのスタートだと聞かされました。」
「君なら進学を考えても良かったんじゃないのか?」
「はい、通信教育を受け、大学入試を考えていましたが、猫田組の構想を聞き、猫田組長や加奈お嬢さまの理想を考えた時、それは回り道でしか無いと思えました。
必要な知識は自分で学べば良いです、組の研修で足りないと感じた事は自分で調べています。」
「しっかりしてるな、猫田組長、彼は平の組員から昇格とかしてるの?」
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