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高松加奈-35 [化け猫亭-11]

「加奈さん、社宅の物件を探しているんだって?」
「はい、寮に余裕が無くなって来ましたので何件か購入しようと考えています。」
「予算は有るのか?」
「ローンを組んで、そこの住人と会社が負担します、管理職になった人の中から気の合う何組かに共同で住んで貰います、昇給分が家賃に消える訳です。
空いた寮の部屋は、児童養護施設で育ち高校を卒業した子に使って貰います。」
「あっ、シングルマザーから対象を拡大するのだね。」
「はい、児童養護施設を自分達で運営する案も有りましたが、施設を出てから苦労している子が少なからずいると知りまして、まずは女子のみですが、先々は男子寮を整備し、男子中高生となるスタッフの子と暮らして貰います。
この事業に我が社の利益をつぎ込んでも良いと株主の了解も得ています。」
「中高生男子なら親から離れたいだろうが、仲間がいないと寂しいだろうな、親から遠く離れて暮らす訳でないのなら良いと思うね。」
「それで…、中村さんは、男の子、何歳ぐらいまで女風呂で構わないと思います?」
「そうか、寮は銭湯みたいなものだったね…、う~ん、十歳ぐらいじゃないのか。」
「そうですね、今回は意見がまとまらなくて、部族長が判断を仰いで来たのです。
他のトラブルは処理してして貰っているのですが…。」
「あっ、子どもを通して、性の問題が絡む訳か。」
「はい、お風呂は大小有りますので男湯に問題は無いのですが、少ない男の子の為に沸かすのは無駄という意見も有ります、ただ、ずっと女性と一緒に入浴というのもどうかと、その他、仲の良い男の子と一緒に入りたい女の子が居れば、逆に抵抗を感じ始めている女の子も、これから高学年の子を持つスタッフを受け入れて行きますので、きっちりルールを作る必要が有るのです。
大きな声では言えませんが、女児の母が男の子と入浴したいとか…。」
「ビシッと決める必要が有る訳だ、女性だけの特殊な社会だからな…、なあ、お父さん役やお爺さん役のサポートメンバーが男湯に入りに行ける環境を作れないか、もう顔なじみになっているじゃないか。」
「確かに寮に入れる男性はサポートメンバーだけで子ども達も懐いています、ですが、そこまで甘えてしまって良いものか…。」
「そちらは私から話してみるよ、君は男湯の入浴規則をスタッフに考えさせれば良いんだ。
子ども達はお風呂で色々学べると思うぞ。
まずは試してみよう。
児童養護施設で育ち高校を卒業した子の支援も化け猫クラブのメンバーに話しておくよ、加奈さんは貧困状態になりかねない、若い世代を救いたいのだろ。
老い先短い、半分死んだ様な老人に金を使うより、明日を生きる若者世代を支援すべきなのだよ。」
「有難う御座います、中村さん、宜しくお願いします。」
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