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高松加奈-34 [化け猫亭-11]

「加奈さん、君の部族は平和に暮らしてるかい?」
「大きな集団になっていますので多少のトラブルは有ります、ただ、大きくなったお陰で互いに合わない人は距離を置く事が出来ています、子ども達は喧嘩しても直ぐに仲直りしてますよ。
親にはすべての子を自分の子だと思って欲しいと話しています。」
「それは、浸透しているの?」
「概ね理解して貰っていると思いますが、将来美形男子になりそうな子が人気で、子ども達は小さい頃から社会の現実と向き合っているのでしょうね。」
「成程、分かる気がするよ、これからも部族は拡大して行くのかな?」
「はい、再婚して生活の場を移しても部族の一員と考えていますし…。
宮田さん、先日、児童養護施設で暮らす子を部族で引き取る事は出来ないか、という話が出たのですが、どう思われます?」
「そうか、多くの母親がいるのなら、子どもにとって良い環境かも知れないね。」
「まだシステムや法的な問題を調べて無くて、昨日小夜に相談したところです、彼女もその辺りは、まだ学習してないそうで少し時間が欲しいと。」
「そうか、う~ん、社会福祉法人として私立の児童養護施設を作れば良いかもしれないね。」
「では、シェアハウスに施設を併設する形にすれば良いのでしょうか?」
「そうだね、でも、まずは養護施設の現状を知らないと…、そう言えば児童養護施設は高校を卒業すると出なくてはならなくて、その時に辛く寂しい思いをすると聞いた事が有る、まずはそういう子を部族の一員に加えるというのはどうかな?」
「あっ、そうですか、調べて相談してみます。
部族の幹部は社会貢献への意識が強いのです、自分達より不幸な人が居たら援助したいと、その意識が会社の売り上げアップに繋がっています。」
「私も社会貢献の気持ちは元々有った、ただ、私に出来るのは寄付するぐらいだろ、だが、その寄付金の流れまでは確認出来ないから躊躇してたんだ。
加奈さんは、それを明確に示してくれた。
化け猫亭の客達は同じ気持ちだと思うんだ、だから皆で支援をしているのだけど、そういう話をしていたら客同士が以前より親密になれたんだよ。
我々にはまだ余力が有るから、女神さまは安心して僕を増やしてくれな。」
「女神さまはよして下さい、でも、宜しくお願いします、少しずつフォローに手間の掛かるスタッフを受け入れて行きますので。」
「聞いたよ、夫と死別したというスタッフはどうだい?」
「波は有るそうですが、子どもがいる事で前向きになろうとしているそうです。」
「そうか、本人が乗り越えるしかないもんな。」
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