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高松加奈-33 [化け猫亭-11]

「加瀬さん、お久しぶりです。」
「おお、加奈さん、相変わらず綺麗だね、君とはすれ違っていたがサイトは毎日確認してるよ。」
「有難う御座います、うちのサイトは如何ですか?」
「楽しいよ、『今日の女神さま』を書いている、加奈お嬢さまの僕たちはセンス良いね。」
「その辺りの表現は微妙なのですが…。」
「寮の写真も、どんどん進化してる部屋が有ったりして、収納の参考になると妻が話してたよ。
あそこは元々お父上の会社の社員寮だったんだよね?」
「はい、今はうちのスタッフだけで使っています、部屋は狭いですが共有スペースが結構有りまして、ワイワイやってます、お風呂も広いのですよ。
出入り口のセキュリティをしっかりした事で、部屋に鍵を掛けない人が何人もいるぐらい、子ども達が自由に出入りして家族の様に付き合ってる人もいます。
そして、全員で一つの部族なのだそうです。」
「家族と言うよりは部族なのか…、君が部族長なの?」
「いいえ、女神より部族長の方がましな気がしますが、初代部族長には一期の伊藤さんが就任しました。」
「彼女とは一度お話しさせて貰った事が有る、しっかりした人だね。」
「はい、部族の掟を考えてくれています。」
「成程、集団にはルールが必要だな、どんな掟が有るんだい?」
「そうですね、再婚して子ども達が離れ離れになっても、仲の良かった子ども同士は縁を切らないで欲しいとか…。
彼氏とのデートの時、子どものフォローは皆で協力する。
再婚後、子どもが不幸になりそうだったら、必ず部族を頼る。
再婚後も部族の一員、退職しても仲間で有り続ける、と言った内容です。」
「そうか、人を縛る掟ではなく子を守り、仲間を守るという事なのかな。」
「はい、私の幼い子ども達を不幸にしたく有りませんので。」
「皆、共同生活に慣れたの?」
「そうですね、馴染むまでに時間が掛かってる人もいますが、子ども達にとっては良い環境だと思っています、小学三年生の女の子が中心になって遊びの中でルールを教えています。
その子は少し背伸びしている所が有りますが、サポートの学生から吸収する速度がかなり早いそうで、将来は私達の大学に入りたいそうです。」
「頼もしいね、その子の親も能力が高いのかな?」
「経歴からすると知的レベルは高そうなのですが、旦那さんとは死別でメンタル面が心配なのです。」
「そうか、一番守ってあげたい人だね…、でも、離婚で苦しんだ人と正反対じゃないのか、上手くやって行けるのか?」
「今は一人で作業出来る通販関係の仕事をして貰いながら、大学の研究室にも協力して頂いてケアを試みているといった状態です。
部族の仲間は互いに事情を把握しています、死別の人でグループも出来ています。
今は住居を別にするか検討をしていますが、子ども達は仲間になっていますのでどちらが良いのか迷っています。」
「それも君が判断するのか?」
「本当は私がすべきでしょうが、部族長が判断すると。」
「伊藤さんは君の負担が大きくならない様に考えているのだね、うん、トラブルは部族長に任せ、君は女神さまとして見守るだけにした方が良いな。」
「そうですね、皆さんからそう言われてはいるのですが、子ども達の事を考えるとつい…。」
「組織が大きくなると不幸な事も当然起きる、元々、不幸な経験を持つ人を集めた組織なのだからね。
加奈さんは全てを背負おうなんて考えては駄目だよ、女神さまのポジションで部族の民をもっと高みから見守っててあげなよ、笑顔で。」
「社長として、それで良いのでしょうか?」
「まだまだ拡大して行くのだろ、君の役割はそこだと思う、君の下に集る人はまだまだ増える、君が一人一人の問題と向き合っていてはだめなんだ。
伊藤さんも、そう考えているのではないかな、今は伊藤さんに任せて置けば良いのだよ。」
「はい。」
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