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高松加奈-31 [化け猫亭-11]

「あっ、安川さん、お世話になっています。」
「こちらこそ、うちは見易くて綺麗な通販サイトのお陰で売り上げが伸びてるわよ、元々店舗より通販を重視して立ち上げたのだけど、予想を越えてるわ。」
「それは良かったです、藤沢にも伝えておきますね。」
「ふふ、もう小夜が伝えたかも、加奈の所は一個限定が多いけどどうなの?」
「スタッフの手作りですので、でも、利益率の高いオーダーメイドにもサンプル画像からの注文が入り始めて、そうですね、サイトが巨大化して閲覧数が増える事の意味を実感しています。」
「うん、そうね、うちの従業員も理解したみたい。」
「四人の正社員は如何ですか?」
「今のところ真面目に働いてるわよ、まあ塀の中で暮らしていたと言っても極悪非道だった訳ではないしね。
そう言えば、三食をお宅の店で食べてる男性がいるけど迷惑かけてないかしら。」
「特にそういう話は聞いていません、でも、三食を外食だとエンゲル係数が高そうですね。」
「そんなに高い店ではないのだから大丈夫でしょう、自立に向けての昇給を約束していますし…、誰か狙ってるのかしら。」
「安川さん、最近うちのスタッフで彼氏が出来たという話を聞くようになりまして、一度失敗した人が二度目の失敗とならないか心配なのですが。」
「そうね、子どもに負担が掛かるのかな、親は何度離婚しようが本人の責任だから仕方ないけど。」
「最悪の場合、子どもはこちらで面倒を見るというぐらいで良いのでしょうか。」
「充分過ぎるわ、子どもだけ守れば良いのよ、まあ、母親も甘えて来そうだけど。」
「再婚相手の子に暴力を振るうとか有るじゃないですか。」
「あっ、それを心配していたのね…、虐待か…、再婚相手でなくても、今のスタッフにその傾向がある人はいないの?」
「います、生活が落ち着くにつれ改善の方向に向かっていますが、子どもとは適度な距離を置く様にしながら指導して貰っています。」
「離婚とかで精神的に不安定だったのでしょうね、でも、加奈は、もう少しゆったり構えていないと身が持たなくなるわよ、貴女のスタッフがきちんと対応してるのでしょ。」
「はい…、そうですね、私が考えても何も解決出来ません。」
「女神さまではなく、女子大生らしくしてなさい。」
「そうでした、困った事はスタッフ達にお任せと、安川さんに言われていましたのに…。」
「加奈から笑顔が消えたら、スタッフは悲しむと思うわ。
社長は存在感を示す事が仕事なの、雑事は部下に任せてね、貴女の会社は社員が必死に社長を盛り立てて行こうとしているのだからね。」
「はい、それは痛いほど感じています。」
「売り上げはどう?」
「サイト関係が一気に伸びたおかげで全体での黒字がみえて来ました、上手く行けば今期、利益が出せるかも知れません。」
「良かった、少し落ち着けるわね。」
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