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高松加奈-30 [化け猫亭-10]

「加奈さん、通販の件だけど、うちも乗らせて貰うよ、社員にサンプルを見せたら商品紹介として悪くないという結論に至ったんだ。
価格を下げ過ぎないという方針だから通販その物での売り上げは大きく無いだろうがね。
でも、販売を検討中の試作を個数限定の試験販売と言うのは面白いと思う、誰の発案なのかな?」
「うちの、男性スタッフです。」
「おっ、噂の元引きこもりか。」
「手伝ってる学生スタッフに話を聞くと、天才レベルだそうです、そんな人が辞めたくなる会社ってどうなのかと思いませんか?」
「小夜ちゃんが付き合いたいと思う様な人だから、一般社会では生きにくいのかもな、小夜ちゃんだってそれを感じて、就職ではなく起業を考えたのだろう。
それで、二人の進展具合は?」
「もう、互いの両親に紹介したそうです…、はぁ~。」
「加奈さん、どうしたの?」
「私はお嬢さまから女神になってしまって、お嫁に行けなさそうです。」
「そうか、確かに紹介出来るレベルの人に心当たりは無いな。
それなりの人でないと釣り合いが取れないし。」
「まあ、私の事より、シングルマザーを結婚相手の候補に出来る人がいたら紹介して下さい。
サイトには写真無しですが再婚希望者の簡単なプロフィールを掲載して貰いました、近い内に出会いの場をセッティングします。」
「分かった、独身社員に声を掛けておくよ。
どう、君のスタッフ達は問題なく過ごせてる?」
「トラブルは有りますが、力を合わせて乗り越えています。
家政婦スタッフは実際に働かさせて頂く事でスキルが上がり始めています、スタッフ同士情報交換をしていますし、店では、派遣先のお客様に教えて頂いたメニューを工夫し直して出しています。」
「店のお客さんは増えたのかい?」
「はい、暇な時間帯はスタッフの研修や会議に使っていますので、人の出入りが多い繁盛してる店と思われているみたいです。
一般のお客様が座れる席を常に空けていましたが、最近はスタッフ抜きで満席になる事も有り、二店舗目を考え始めています。」
「利益は出てるのだね?」
「ええ、食材を寄付して下さる方が複数おられまして、日替わり、週替わりのメニューはそれに合わせています。
桜さんのスタッフが宿泊施設建設中のエリアで食材を安く購入して来て下さいますし。」
「そうか、うちも食べきれないフルーツを頂く事が有るから持って行くよ。」
「お願いします、旬の頃は頂き物が被りますものね。」
「夜は居酒屋になるのだろ、場所的には難しい気がするのだが。」
「逆にシングルマザーの店だと知っておられる方ばかりです、売り上げは悪く無いですよ。
結婚相手にと真面目に考えて下さる方もみえるそうです、ただ…、浮気対象にと考えて来ている人がいたら残念です。」
「まあ気にし過ぎなくて良いとおもうよ、私も、独身の部下を連れて行ってみるかな。」
「お願いします。」
「居酒屋スタッフの子ども達が寂しい思いをしているとかはないのか?」
「勿論です、保育スタッフがまとめて面倒見てます。
小学生の子が小さい子に読み聞かせをしてあげたり、一緒に遊んだり、子ども達は兄弟の様に仲良くしています。
私もお土産持参で見に行くのですが、みんな可愛いですよ、巨大な家族が形成されつつ有ると思っています。」
「時代は大家族から核家族へ進んで来たが…、特殊な巨大家族か…。」
「今後、親の再婚で離れる事が有っても、子ども同士の繋がりは残して欲しいと話しています。」
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