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鹿沢桜-08 [化け猫亭-06]

「名駅前の本社、出張には便利ですが、出勤時の地下鉄は混みますし車での移動時は渋滞と信号待ちの長さにうんざりする事が有りますよ。」
「企業は郊外にオフィスと社宅をまとめて建てて徒歩通勤とか考えられないのですか?」
「はは、徒歩通学の桜さんらしい発想だ、オフィスの移転は難しいが、工場新設プランが有る、そちらで提案してみようかな。」
「工場は何処に?」
「まだ幾つかの候補から検討中でね、土地の安い所にしたいが、不便過ぎると人を集めるのが大変で悩ましいよ。」
「敢えて過疎化が進んでる所に建設、娯楽施設やスーパーとか誘致して新しい町を作ると言った事は出来ませんか?」
「さすがに従業員はそこまで多くないからな。」
「桜さんの発想を進めるなら工業団地とニュータウンを隣接する形で開発すれば効率が良いですよね。」
「だろうな、でも役所の部署が違ったりして…、昔なら公害問題も有ったのかな。」
「守山の志段味はある意味、総合的な開発を目指していたと思うが、どうなってるのかね…。」
「開発とは別で進めていた道路の拡幅工事が何十年も掛かったのが象徴的です、宅地は増えていますが、志段味ヒューマン サイエンス タウン構想は順調なのかどうか分かりませんね。」
「あっ、そんなのも有ったな、志段味方面へは良く行くの?」
「はい、愛岐道路から恵那方面を目指すのが自分のドライブ定番コースの一つですが、岐阜まで行かずに志段味辺りをうろうろする事もあるのです。」
「私も、瑞浪のゴルフ場へ行く時に通るのだが、東濃地方でも少し山の手に入ると空き家を目にするんだ、その一方、志段味では新築一戸建てがどんどん建てられているだろ、アンバランスだよな。」
「この辺りでは空き家なんて考えられませんよね、近所では家を取り壊したと思ったら敷地を分割して三軒の家が建てられました。
交通の便や環境が良くて、学校が多いのは魅力ですかね。」
「女子高生、女子大生の多さだろ。」
「はは、そりゃあ老婆とすれ違うよりは良いわな。」
「ふふ、正直でよろしいです、それで、その東濃地方に住むメリットは無いのですか?」
「車さえ有れば生活には全く困らないと思う、地価は安いから、ここに小さな家を建てるより、森に囲まれた広い家でのんびり暮らす事も可能だろうな。」
「それでも人がそこを選択しない理由は?」
「いや、新築も目にするから選択する人もいる…、色々な事情が有るのだろうね。」
「子どもの教育環境ですか。」
「車でないと日々の買い物に行き辛いとか。」
「JR中央本線と中央自動車道が近くを通っていても、そのレベルという事は本格的な過疎地に未来は有りませんね。」
「そうなんです、ずっと離れずに暮らしていたら抵抗は無かったかも知れませんが、一度都会に出てしまうと、そして、都会に出ざるを得ない環境だったのです、私は。」
「ご実家は?」
「長野の山奥で、ほんとに自然以外何も無くて、それでも子どもの頃は何の疑問も抱かなかったのですが…。」
「そういう話を聞かされると、考えさせられますね、人口が減って行くのに都市の過密が進んでいて。」
「過疎地では限界集落から廃村ですか…。」
「都会では貴重な土地が、過疎地では余っているのですよね。」
「ネット社会を利用して地方で会社運営をしている所もあるが、さすがに過疎地では従業員を確保出来ないだろうな。」
「過疎地の土地…、地価はどれぐらいなのでしょう?」
「桜さん、買うの?」
「考えてみたいです。」
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