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鹿沢桜-09 [化け猫亭-06]

「廃村レベルだと地価はただ同然みたいだね、固定資産税は安い筈だが、固定資産税を払い続けるのがバカらしいと考える人もいるみたいだ。」
「瑞浪辺りだとどうでしょう?」
「さすがにそこまで安くは無いだろうな。」
「誰も住みたがらない様な激安物件はネットでは探しにくいかも。」
「でしょうね、今、瑞浪の土地で調べたら五十坪百万、八十七坪九十一万の土地が出て来ましたが…。」
「中村さんは早いね、しかし流石に安いな。」
「千種区のこの辺りだと幾らぐらいなのですか?」
「条件にもよる、駅に近ければ五十坪で五千万ぐらいかな。」
「それだけの差が有るのですか…。」
「どう、百万ぐらいなら桜さんでも買えるでしょ。」
「ええ、車の運転に慣れて来ましたのでドライブがてら見て回りたいと思います、今後の構想を練りながら。」
「どんな構想なのかな?」
「前からぼんやり考えていたのは学生の合宿所です、建設費と維持費を考えると簡単では有りませんが、今、皆さんのお話を伺って、比較的近い東濃地区と少し遠い長野の過疎地とか、食料はこちらから持って行くのでは無く現地調達。
そこから学生達が過疎の問題と向き合ってくれたらと考え始めています。」
「爺さん婆さんばっかの村に若者が来たらお年寄りが元気になるかもな。」
「学生だけなの、化け猫亭の客が学生の行かない日に利用とかどう?」
「良いね、有給使って家族連れでとか、それなら建設費や維持費を出し易くなる。」
「はは、もうスポンサーになるつもりですね。」
「ゴルフ帰りに一泊とか、長野なら季節ごとに色々楽しめそうだろ。」
「料理とかはどうしますか?」
「そこは現地の人にお願いするのさ、学生達は自炊でもね。」
「家政婦さんですか?」
「ああ、探せば見つかるでしょう。」
「家政婦さんって、どんな感じですかね?」
「うちは、子どもが生まれた頃から随分お世話になってるよ、今は週一、妻は専業主婦だが手伝って貰う事で余裕が出来てる。
お陰で家庭内は平和だね。」
「費用は嵩みませんか?」
「その分、仕事を頑張って来た訳さ、貯め込んでたら経済は回らないでしょ、でも、しっかりやってくれるし妻の相談にも乗ってくれてるみたいなんだ。」
「そうですか、うちも同居してる両親が年老いて来たから考えるべきなのかな…。」
「金銭的に余裕が有るのなら家事代行や便利屋のサービスは上手に使うべきだよ、業者は選ばないといけないが。」
「学生のバイトとして、家政婦と言った事は可能でしょうか?」
「主婦経験を活かしての家政婦だから経験値的に難しいかな、女の子だと別目的で頼む危ない輩もいそうだし。」
「あっ、そうですね、でも、家事の経験を積みたい学生はいると思うのです。」
「だろうな、将来の夢はお嫁さんとか。」
「それを合宿所で経験出来ないかと思っていたのですよ。」
「なるほど、だが、教えてくれる人が居れば経験値は上がり易いのだが、そこは考えてた。」
「まだ、そこまでは考えていません、でも、今日は皆さんのお陰で考える事が増えましたので、しばらく楽しく過ごせそうです。」
「桜さんのお役に立てたのなら光栄だね、CAT'S TAILの今後や合宿所の展開、私にとっても楽しみが増えたよ。
でも、桜さんの仕事は時間的には大丈夫なの?」
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