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33-客 [岩崎雄太-04]

雄太の知名度は随分上がっている。
学生時代に起業し成功させた事で名は知られていたが、株式会社岩崎関連でさらに有名になった。
イケメン青年社長はテレビ局としても使いたい存在。
有る番組では。

「岩崎さんは、今度、お父上の会社でもさらなる要職に就かれるとか。」
「はい、ここまでの改革が概ね成功していますから、次の展開に向けてです。」
「労働環境を随分改善されたのですね。」
「ええ、時間は掛かりましたが、非正規を中心に待遇改善しました。」
「人件費が増える事に反対はなかったのですか?」
「もちろん有りました、でも伊藤さん、企業にとって労働者とは何だと思いますか?」
「労働によって企業に利益をもたらす存在でしょうか。」
「そうですね、でも、労働者はお客様でも有るのですよ。
不満を抱えて仕事していたら他社の商品を購入し、うちのグループ企業の製品を避けるかもしれません。
給料が少なければ、消費が限られます。
この国の企業は今まで人件費を抑える事に夢中になるあまり、お客さんの購買力を落として来たのです。
内需が伸びない原因ですね。
派遣社員の比率を上げる事に頑張って来た人の息子が、非正規の道しかなく低収入という例も有りました。
うちでは派遣社員をなくす方向で進めています、グループ企業各社の事情も考慮しつつですが、随分進んでいます。」
「人件費が増えて会社としてどうですか?」
「一部は商品価格を上げさせて頂きましたが、十億の純利益を五億に減らしても良いとの指令を出しています。
会社は、社員の為の物でも有りますから、その為の改革をさらに推し進めるのがこれからの私の役目です。」
「利益を減らしも良いとは、今までの常識を覆す事ですが、さらにというのはどういう事ですか?」
「役員報酬を減らします。」
「それでは有能な方が他社へ流出とかになりませんか?」
「それも推奨しています、力が有っても上が詰まっていて昇進のチャンスが無かった人にも活躍して欲しいですからね。
喧嘩別れする訳では有りませんから…、役員クラスとは色々な話をしているのですよ。
高額な報酬を提示してくる会社へ転職してその会社を改善するという事を考えて欲しい、その延長でうちのグループとも良好な関係を築いて行ければ、日本経済にとってプラスになるとか。」
「その発想の大きさが、株式会社岩崎の成功に繋がったのですね。」
「いえ、まだ成功と呼べるレベルでは有りません、色々な人の協力有って形は出来て来ましたが、日本中に過疎地がどれ程有るかご存知ですか?」
「あっ、そうですね、それでも岩崎村は…、えっ、日本中の過疎地を何とかしようとお考えなのですか?」
「時間は掛かるでしょうが都市部から過疎地へのお金の流れは今後も強化して行きたいと考えています。
色々な方にご協力頂いていまして、例えば岩崎村の観光は…。」
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