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32-企業努力 [岩崎雄太-04]

九万人のグループ企業社員全員に、岩崎家当主を含む三代の名によるメールが届いた。
この形のメールは株式会社岩崎立ち上げ以来しばしば送られている。
給与体系改革、労働環境改善に関する事や、株式会社岩崎への思いなど。
嬉しい内容が多かった事も有って真面目に読む社員も多い。

「ねえ、メール読んだ? 岩崎家からの。」
「ああ、ただのお遊びだけど目的が明確だから応援するしかないな。」
「基幹企業の社長がお殿さまなら、うちの社長は藩主ってとこかしら。」
「そこまで踏み込んだ話ではなかったけど…、会社のイメージアップに繋げたい。
岩崎村の発展にはグループ企業全社が協力している、村へ遊びに行った時思ったのは、企業が本気を出せば廃村が簡単に蘇るという事、次の拠点は日帰り出来るくらいの所だから楽しみだよ。」
「イメージアップなら、新商品のパッケージにイケメン若殿様がらみのデザインとか使えないかしら。」
「そうだな、うちだけでなくグループ企業統一キャラが有っても良いな。」
「すぐに提案メール送るわ。」
「それでうちの企業グループにさらなる注目が集まると良いが。」
「この前の番組では下請けに優しくなったと特集を組んでたわね。」
「俺も見たよ、過去にはかなり無理強いしてたのを、従業員の給与アップを条件に単価を上げた、その分高級品中心に商品価格を値上げしたけど、殿と若殿が労働環境改善と内需拡大を目指しての値上げだと言い切ったお陰か、売上高は思った程下がらなかったのだよな。」
「下請けにも優しいという事で企業イメージは良くなってるのよね、あっ、下請けも国民の数に入れたらもっとインパクトを与える事が出来ないかしら。」
「う~ん、国民の人数より株式会社岩崎の所有する土地の広さで充分な気がする、人数は元々多い訳なんだし。」
「そうか、でも下請けにも企業グループの一員という気持ちが生まれないかしら、そしたら買い物の時にグループ企業関連の商品を優先的に購入するとか、消費行動がうちにとって有利な方向へ動かないかな。」
「それは否定出来ない、給料が上がった訳だし。」
「これも、提案しておくわ、収入が少なければ安い物にしか目が行かなくなる、でも給料が増えれば、選択肢が増えるのよね、良い物を長く使うという感覚を持って貰えればうちの売り上げがさらに伸びるかも。」
「ライバル企業がどう出るかだな、企業イメージでかなり差を付けたのは調査ではっきりしてる、日本再生を大きな目標に掲げグループ企業全体で改革を進めて来た成果だ、面白いのは改革関連で増えた出費が売り上げの増加でかなり回収出来てる事だな。
このまま他社が社員に対する企業努力を怠ったままならどうなるのかな。」
「ふふ、企業努力って、値上げせずに済む様に企業努力してますって感じだったでしょ、でもそれは社員の負担を大きくするだけだって、若殿様は断言して見えたわね。」
「そうだな…、若殿は次のグループ総裁と誰もが思っているけど、もっと大きい人なのかもしれない。」
「原点は岩崎村か、今度行ってみようかな、田舎暮らしも悪くないかも。」
「移住は我慢した方が良い、お洒落な店でのショッピングとかはしずらくなるぞ。」
「そういった事に拘りは無い方ですからご心配なく、人混みが好きな訳でも無いから人生の選択肢として有りよね。」
「いや、それはまずい、俺の仕事が増えるだろ。」
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