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34-観光 [岩崎雄太-04]

岩崎村に於ける観光拠点の一つは洋蘭やブーゲンビリアなどを中心とした大温室、一年中綺麗な花が咲き誇る。
生産施設で花を咲かせた洋蘭などの販売も。
併設のレストランでは一流シェフの料理が堪能できる。
ヘリで村まで来る様な富裕層の客もいるから成り立つ事だ。
そんな客の宿泊は森の中のコテージ、一般客が入れない立ち入り制限エリアを設け、客と従業員以外は入れない。
最上級のコテージは他の宿泊客と顔を合わせる事無く自然の風景を堪能できる。
有名人向けに隠れ家的な環境を整えた訳だ。
ヘリポートから送迎の車に乗り込んでコテージまで直行し、そのまま何日か過ごすという著名人もいる。

「明香、隠れ家コテージはうまく行ってる様だな。」
「ええ、一旦制限エリアへ入れば、お世話係以外の人と会う事もないし、口コミで広がって予約で一杯よ。
一昨日は蘭を五十鉢ぐらいまとめ買いして知り合いへの宅配を依頼して下さった方がみえたわ。
宿泊その他を合わせれば、売り上げはご夫婦で百万を越したみたい。」
「そんな方々のプライバシーが守られる体制は大丈夫かな。」
「そこは厳しくトレーニングして貰ったけど、実際の所、担当者達は売り上げの大きさに気合いを入れ直していて、会社に貢献できる喜びを語って下さったわ。」
「そういう人なら、お客様に失礼もないだろうね、他のコテージはどう?」
「予約で一杯とまでは行かないけど充分黒字にはなってるわ。」
「じゃあもう少し宣伝して来るよ。」
「隠れ家コテージもだけど、どういう宣伝してるの?」
「取引先関係の人と話しをしてると岩崎村の話題になる事が多くてね、その話の中で自分は大した金持ちでは無いから、過疎地へ貢献なんて出来ないって言う人が多いんだ。
それで、村のコテージに泊まって下さるだけで過疎地への貢献になります、と話しているのさ。」
「社会貢献のつもりで…、だから高い蘭も良く売れてるのね。」
「ああ、そうだと思う、我々はそれで得た利益を拡大へ向けての投資に回せば良い。」
「そうね、でも隠れ家コテージは利益率高いけど、増やすだけの需要は微妙よね。」
「次に宿泊関係を作るとしたら町に近い所にホテルかな、そうそう、隠れ家コテージを体験した作曲家からここに別荘を建てる事は可能かと聞かれた。」
「どうするの?」
「たまにしか使わない別荘は建てられないと答えたら、住民票を移して住むのならとか、佐藤社長とも相談して貰っているよ。」
「土地付きで家を建てて売るの?」
「そうだね社員じゃないが村民になるのかな、住民票を移してくれたらこの地の税収が増える、うちとしても建物の代金だけでなく、色々売り上げに貢献して貰えるだろう。」
「別荘は今後も建てない方向?」
「別荘は祐樹達の所だけだ、あそこは祐樹達のいない時もフルに活用しているからね。
たまにしか使われない様な別荘が有っても、売り上げには大して貢献しないだろ。」
「そうね、空き家同然の建物を増やしても一時的な収入にしかならない、欲しいのは継続的な収入源よね。」
「その意味では、あの作曲家が移住してくれればそれなりに、ヒット曲も多いからかなりのお金持ち、良いお客さんになって下さるだろうな。」
「良い形でまとまって欲しいわね。」
「ああ。」
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