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81-受け入れ [キング-09]

五人の孤児たちはひとまず城の一室に落ち着いた。

「香は彼等の言葉が分かっているのか?」
「そうでもなくて、ただ何を伝えたいのか感じてるそうよ、それに対して笑顔で答えてると話してたけど。」
「あの子にそんな能力が有るとはな、でも嘘発見器と同等の能力を備える三之助の子なら有り得なくもないか。」
「尊、彼等のコロニーはどうだった?」
「ひどかったです、畑も貧弱で、テレビ電話、端末も翻訳機も見つかりませんでした、一つの居住コロニーだけで自給自足を試みてきたのが失敗に終わったのではないでしょうか、鶏を見かけないのに卵の殻が有りましたから、ここからマリアさまが持って行った物かもしれません、後は翔が調べています。」
「絶望したのかな、怪我をした子がいるという事は、無理心中を図ったのかもしれない、子どもを傷つける事は重罪だと聞いてるから、子どもに傷を負わせた時点で罰を受けて即死という可能性も否定できないだろう、遺体はすぐに消滅するらしいからな。」
「問題は残された子ども達だけど、言葉が通じないのは大きなハンディね。」
「愛が彼等の言葉を分析しています、それを元に共通語を教える準備を始めます。」
「そうか、望と香は五人に付き添っている、怪我をしてる子もいるから、まずは東城家で担当だな、キングにも伝えてくれ、彼等の保護は我が家が担当すると。」
「はい、ただマリアさまから極力短期間で城から移す様に指示が有りました、ここで暮らす事は彼等にとってマイナスになるそうです。」
「そうか、城は特別な場所だからな、言語に関する話は相談しなかったのか?」
「僕らで解決出来るだろうと言われました、翻訳機に新たな言語を追加する必要はないと。」
「そうか、子ども達の年齢を考えると、その方が早いかもな、今後について何か考えは有るのか?」
「まずは城下町の子どもの家で暮らして貰い、僕らが交代で面倒見ます、三歳から六歳なので何とかなると思います、お泊りに来る子達も協力してくれるでしょう。」
「大人は必要ないかな?」
「今の所は大丈夫だと思いますが、何かあったらお願いします。」
「分かった、愛、どうした?」
「翔が録画してくれた映像から、言葉が有る程度把握出来ました、城の子八人で確認したいと思いますがどうでしょう。」
「それなら集まった方が良いね、三郎おじさん、子どもを全員彼等の部屋に集めようと思うけど良いですか?」
「問題ないだろう。」
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