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80-孤児 [キング-08]

尊が珍しく私の部屋へ駆け込んで来た。
彼なりに私の立場や仕事を気にしているから、本当に珍しい事だ。

「父さん、子どもだけが五人残っている居住コロニーを和の国に接続して良いかな?」
「えっ、どんな状況なんだ?」
「第一世代が残っていないから僕らが導かなくてはいけないと、マリアさまから言われた。」
「そうか、ここに迎える事に何らかの問題は感じているか?」
「向こうの子ども達が泣いていること以外には何も。」
「和の国成立以来、初めての形だという事は理解してるな。」
「もちろんさ、だから父さんの許しが必要だと思った。」
「接続に問題は無いが。」
「ほんとは時間を掛けて準備するべきだと思う、でも、マリアさまから見せられた映像からは…、気持ち良くないイメージが沢山流れて来る、それを僕は軽く出来ると思う。」
「分かった、城の住人を居住コロニーとの接続予定地点に集めて子ども達を出迎えよう、大人を迎えるのでなければ、大きな問題はないだろう、ただ大勢で取り囲んでは恐怖心を与えてしまうかもしれない、私は三之助に説明するから、尊は香に事情を説明してくれるか。」
「はい、全員への連絡は?」
「今、緊急招集をかけた、子ども達は初めてで戸惑ってるかもしれないからフォローしてくれ。」
「はい、場所は?」
「ひとまず城の正面にした、ゲートの位置は後で変えれば良い。」
「はい。」

とりあえず急いだのは尊が気持ち良くないイメージと話したからだ。

「父さん繋げる準備は出来たよ。」
「分かった、香は大丈夫か?」
「はい、尊から聞きました。」
「麗子がお菓子の用意をしてるからな、」
「まず尊と香が入って状況判断してから指示をくれ、ここにいる全員が尊の指示で動くからな。」
「分かりました、香、手を繋いで行こうか。」

「翔は翻訳機の確認をしてくれるか。」
「はい、まだ言語は増えていません。」
「今まで出会った言語なのかな。」
「望、今までとは出会い方が違う、言葉が通じない事を想定して対策はとれないか?」
「はい、ぬいぐるみは用意してあります、愛は誠達とペットを取りに行っています。」

尊から連絡が入る。
『三郎おじさん、すぐ来て! 怪我してる子がいるんだ!』
「分かった、すぐ行く、三之助救急箱を取って来てくれるか。」
「はい。」
「尊、言葉は通じているか?」
『だめです、聞いた事ない言語で、翔、別チャンネルで送るから分析してくれるか、それと翻訳に関してマリアさまと相談してくれないか。』
「了解した。」
「尊、子ども達の年齢は?」
『三歳から六歳ぐらいだと思います。』
「落ち着いているか?」
『香の顔を見て、さっきまで泣いてた子が泣き止みました、望をお願い出来ますか。』
「了解した、望、頼めるか?」
「はい。」
『八重おばさん、そろそろお願いできますか、お菓子が一緒だと嬉しいのですが。』
「良いわよ、麗子のお菓子はまだだけど、ポッケの飴で良いでしょう。」
「怪我の程度はどうだ?」
『三郎おじさんは、出血してるが命に係わる様な怪我じゃないって。』
「そちらの環境はどうだ、こちらに連れて来る事も想定して準備してるが。」
『怪我をしてる子の処置が済んだ段階で移動したいです、食事、お風呂と着替えが必要な事は間違いないです。』
「分かった、子ども達は怯えていないか?」
『もう、大丈夫です…、その…、怪我をしてる子も香と楽しそうにしてまして…。』
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