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76-世代交代 [キング-08]

尊はよくやってくれている。
スコットランドのリーダー達に趣旨を説明した後、ブラックコロニーの連中とモニター越しに三回の対談、始めは子どもが担当という事に腹を立てた者も、すぐにプライドを打ち砕かれた様だ。

「次回は尊が居住コロニーへ訪問って事だが大丈夫か?」
「ここまでの監視映像では問題ない、有るとしたら組織的ではなく個人的な攻撃だが今まで武器は確認していない、スコットランドもかなりの警護を用意してくれている。」
「それにしても、本人が望んだとはいえ、自暴自棄になって攻撃してくる奴がいないとは言い切れないないだろう。」
「大丈夫だ、最後はマリアが守ってくれる。」
「それでキングは落ち着いている訳か。」
「いや、三之助に手伝って貰って彼等の精神分析をし尽くした結果でもある、すでに彼等は無害だと思う、このタイミングで仕事を与える事により、この世界の真の住人となれるだろう。」
「他の国民に受け入れられるだろうか。」
「その辺りは望が考えてくれている、時間は掛かるだろうが牢獄での終身刑よりはましな形で、皆には妥協して貰えると思う。」
「何とか良い方向へ向かって欲しいものだな、ところでキング、尊が話してた居住コロニーの整理はどうなってる?」
「翔が引っ越しの希望調査を始めている、自分の国の別コロニーへの転居、もしくはサンフランシスコの居住コロニーへの移住が大人達にも認められた。
希望者が多ければ住人が極端に少ないコロニーをサンフランシスコへ繋ぎ替える事も可能だ。
愛はすべての居住コロニーを回り現在の状況を確認、改修作業準備をしている。
罰を受けて住みづらくなったコロニーも許される範囲内でリフォームという事だ。」
「いよいよ、城の子ども達がとても特別な存在だという事を世界の人達が知る訳だな。」
「ああ、この作業は城の子ども達にしか出来ないからな。
マリアによれば、これはサンフランシスコが落ち着いて来た今、大人達に課せられた一つの試練が終わる事を意味しているそうだ、今後も試練は有るだろうが、マリア達がプログラムした大人に対する罪と罰が終わる。」
「という事は、罪を犯しても罰を受けなくなるのか?」
「城の子ども達が、その必要性を感じたらプログラムし直せる、但し第一世代に対してのみだ。」
「この事は大人達に伝えるの?」
「聞かれたら答えれば良いだろう、聞かれなかったら黙っていれば良い。」
「静かに世代交代という事か。」
「もっと先だと思ってた、でも子ども達がこれからどんな判断を下して行くのか観察させて貰いましょうか。」

私達の役目が終わった訳ではない、だが我々がマリア達と共に構築してきたこの世界の明日は城の子ども達に委ねられようとしている。
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