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75-罰 [キング-08]

しばらくしてブラックコロニーが下した結論は負けを認める事だった。
結論に至る過程で大喧嘩をし罰を受けた事が妥協に繋がった様だ。
ただ。

「今日の午後、ブラックコロニーとスコットランドの担当リーダーが話し合ったわ、ちょっと見て。」

『我々に問題が有った事は認めよう、だが、自分達には裁判を受ける権利が有る。』
『残念ながらここに裁判所はない、法律もない、行政は良心によって行われている、我々は君達八人の為に立法府と裁判所を設立しなくてはならないのか、もしそこまで望むのであれば、君達を死刑にする法律を作ろうと思うが構わないな。』
『待て、死刑になる程の事はしていない。』
『前の世界でならな、だがこの世界では約束事が異なる、そうだな自分達に相応しい刑が有るというなら、それを提示してくれ、キングが納得すれば死刑ではなくそちらが採用されるかもしれない。』

「成程、これはうまい手だな自分の刑を自分で決める、だが被害者が納得してくれるのが出て来るかな。」
「愛は最近、犯罪、罪、罰、といった事を学習して貰っているがどう思う?」
「そうね、小さい子達は悪さをした時、怒られる事で学習している、それが大人になっても悪さをするという事は私達とは違った価値観を持っているという事かしら。」
「昔はお金という物があって、個人所有の物が多かった、でもこの世界にお金はない、私有物はすべてマリアさまからの借り物という考え方が浸透してきている、この先起きる犯罪は大人達の過去に関係するものしか思い浮かばないな。」
「翔はどんなのが思い浮かぶんだ?」
「差別的な心情、優越感、劣等感。」
「そんなとこだろう、それだけにブラックコロニーの件も落としどころを間違えると、彼等の子ども達が劣等感を引きずる事になりかねない。」
「彼等に特別な仕事を上げる事は出来ないかな。」
「ねえ、僕達、ここで生まれた子ども達は犯罪について知らない、でも知らなさ過ぎるのも問題だと思う、だから彼等に本を書いて貰うってどうかな? 居住コロニーの中で仕事が出来る訳だし、ゲートを和の国に繋ぎ替えればサンフランシスコの人と会う回数も減らせてトラブルが起こりにくいと思う。」
「尊はそんな事も出来るのか?」
「父さんと居住コロニーの整理を検討中なんだ。」
「その話も詳しく知りたいが、ブラックコロニーの連中を作家にというのは面白いな、反対がなければその方向で行きたいが。」
「居住コロニーから出す時は当分の間一人ずつだな、楽しい小説を書いてくれた時の御褒美として。」
「この件は尊に任せたいがどうだ?」
「はい、話の内容も相談したいので。」
「ではスコットランドと連絡を取ってくれるか。」
「はい、今から動きます。」

彼等の罰はひとまず保留、彼等がこの世界に貢献してくれるのであれば罰も変わって来る。
表向きは発案者である尊に任せた、だが必ず子ども達四人で意見交換をしている、そこにマリアが加わる事も有る。
どう進めて行くのか興味深いものだ。
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