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73-対応 [キング-08]

当面の最重要課題は例のブラックコロニーだ。
監視カメラの映像を見ながら。

「苛ついていて、多少の言い合いはしてるが、罰を恐れて自制してるみたいだな。」
「結構な自制心だ、それが有ったからそんなに老化してないのだろう。」
「十一人の子ども達が全く差別の無い社会で暖かく守られている状況、黄色人種を兄姉の様に慕っている状況はさすがに気に入らないみたいね。」
「教育し直さなければって言ってた奴がいるぞ、でも子ども達がもっと親を恋しがるかと思ったが、そうでもなかったな。」
「遊びに夢中だからね、モニター越しに親と対面しても、親の表情が険しくては恋しさは薄らぐだろう。」
「あら、やはり戦争の原因は日本だと流布する作戦にたどりついたのね。」
「彼等にとって真実は関係ないからな、でも説得力の有る根拠をでっち上げられるのかね。」
「どうする、キング、この調子ではコロニーから出せないが、他の国にその理由が説明出来ない。」
「スコットランドのリーダー達にだけ一花が体験した彼等の手口を話してみよう、一つのコロニーだけ平均見た目年齢が低くて不自然だという事で納得してくれるのではないか。
そこから導き出された人種差別感情を話せば、今後の交渉はスコットランドと共同が良いと理解して貰えるだろう。」
「彼等が洗脳される事はないかしら。」
「それを避ける為に必ず三郎か三之助と一緒に話し合って貰おう、だがしばらくはスコットランドも重点監視対象にせざるを得ないな。」
「監視業務の負担が増えるな、他の業務に影響は出ないか。」
「場合によってはすぐ対応する必要も出て来るでしょうし、我々八人だけでは厳しいわね。」
「子ども達に私達の通常業務を任せてみるか?」
「そうね、どんな事をしてるかは学習の一環として教えて有る、リーダー業務の実習という事で試してみましょうか。」
「では今後の流れと分担を決めるか。」
「そうだな、早い方が良い、とにかく彼等が落ち着くまでにスコットランドと今後の方針を協議出来るところまで持ち込みたいな。」

子ども達に仕事を任せる事がすんなり決まったのは、彼等の頼もしさに有る。
私達の子どもがマリア達の子でも有るという事は受け入れざるを得ない状況、近い将来私達の能力を軽く超えて行くだろう。
実験の産物で有る事に若干の抵抗は有るが、高い能力を持った子ども達を私達は愛している。
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