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72-製造 [キング-08]

三日目は朝から城の子を交えての会議。

「翔、ここの監視システムの事、どう思ってる。」
「この世界の隅々まで気を配る大切なシステムだと思う。」
「監視されてる側はどう思うだろう?」
「相手が知らなければ問題ないって、マリアさまもそうメールで答えてくれた、城の秘密なんだ。」
「誰かが間違って秘密を漏らしてしまう事はないだろうか?」
「心配なら、城以外の人達にプロテクトを掛ける事も可能、聞いても何の事か全く理解できない様に出来るんだよ。」
「それを実行するのはいささか抵抗を感じるな。」
「でも、ずっとじゃないんだって、僕らが十六歳ぐらいになったら、そういった制御は出来なくなる様にプログラムされているよ。」
「そうか…、ここは我々の負担を減らす意味でプロテクトをお願いするのも有りなのかな。」
「大切なのは第二世代をより良い大人へ成長させる事よね。」
「その為には、多少の罪を私達が背負う事になっても、子ども達が十六歳になるまでに、より強固な社会基盤を作っておく必要が有るわ。」
「大人達にプロテクトを掛けるのはさほど抵抗を感じないが、子ども達にはちょっとな。」
「子ども達は大丈夫、マリアさまが何時でも見守って下さってると僕らが教えてるからね、子どもにプロテクトは掛けれないし。」
「ならば遠慮なく監視システムを使うとして…、いや、その前にこの件に対する反対意見は?」
「使う側の良心に問題がなければ大丈夫でしょ、このシステムを使う事でより安心して子育てが出来るのなら反対する意味はないわ。」
「ならば、使用に関しての問題はモニターの数だな、端末の台数には限りが有るから効率が悪すぎる、キング何か手はないか。」
「その答えは尊が持っている。」
「はい、これからマリアさまの技術を教えて貰う事になっています、工作の時間に何を作りたいか考えておくように言われてますから、まずモニターにします。」
「そんなに簡単なのか、キング。」
「まずは部品を受け取って最終の組み立てを覚える、それから各部品の作成を習得、その後材料の製造、と工作の授業は随分先までプログラムされてる、ちなみに城の子しか作る事が出来ないと言われた、私は城の大人だから作れない。」
「はは、でも城の子全員が製造業に従事しても良いのか?」
「工作の時間は限られる、またしばらくの間、この事は国民にも秘密だ。」
「隠し事は好きじゃないけど。」
「私は、ようやく地下室が使えて嬉しいが。」
「えっ、地下室が有るのか?」
「ああ、使い道が牢獄とかにならなくて良かった、地下研究室、地下工場、そうだな監視ルームも地下に作ろうか、城の住人以外出入り出来ない設定にして有る、さらに亡霊が出たりと…。」
「亡霊?」
「望、どうなった?」
「地下への入口近くへ部外者が近づくと、一花おばさんがお話で聞かせてくれた、悪い子を食べちゃうおばけが出て来るわ。」
「それって、怖いの?」
「どうかしら、怖いってよく分からないから、悪い子を食べちゃう様なのを想像してみたけど。」
「翔、画像は見れないのか?」
「あっ、皆の端末に送るよ。」
「こ、これは…。」
「却下だな、こんなに可愛い亡霊では無駄に人を引き寄せてしまう、一般人が地下へ入れないとはいえ、その存在は極力秘密にしておきたい、このキャラクターは食堂で使おう。」
「地下への入り口の方はどうするの?」
「変な小細工はいらないだろ、キング。」
「いや、この城にも亡霊の一人ぐらい住まわせたいと思ったのだがな。」
「亡霊と言ってもこの城で死んだ人はいないし。」
「そうか…、では別の遊びを、子ども達後で秘密会議だ。」
「ラジャー。」
「はは、結果を楽しみにしてるよ、ところでモニター以外はどんな物を製造出来るのだ?」
「まずは下の子達の為に端末を用意しないといけないが、そうだな、マリア達のテクノロジーを使った道具でもっと欲しいという物が有ったらリクエストしてくれるか。」
「何でも作れる様になるという事か?」
「まあな。」

マリアは自分達のテクノロジーを受け継ぐのは城の子だと断定した。
私達に出来ない事も城の子達は出来る様になる。
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