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61-特別 [キング-07]

マリアの授業二日目。
質問に答えるというマリアの言葉に、まず口を開いたのは翔だ。

「この端末でマリアさまと話す事は出来ないの?」
『そうね、私達の方針で今はキングとあなた達の五人にしか私の声を聞かせることは出来ないの、でも手を考えてみるわ。』
「弟や妹もだめなのかな?」
『あなた達の本当の弟や妹が六歳ぐらいになるまではね。』
「お城に住んでる子は特別なの?」
『そうよ、この世界で特別な存在。』
「他の国のリーダー達の子達もでしょ?」
『いいえ、他の国は和の国ほど成功しなかった、色々な意味でね。』
「でもスコットランドのメアリーやジョージは五歳だけど優秀だわ。」
『実はそれ程でもないって、しばらくしたらあなた達も気付くでしょうね。』
「特別って、喜んで良いのかな、良い事ばかりじゃない気がする、三之助おばちゃんは良くバランスについて話してくれる、特別な存在はバランスを崩しかねないって。」
『尊は良く分かってるわね、その通り良い事ばかりじゃない、あなた達はこの先大変な思いをする事になるでしょう、でもキングがこの世界をまとめている事は理解出来てるわね。』
「はい。」
『これからも人が増える、大人を束ねるのはキングの役目、子ども達を導くのはあなた達の役目、だから城の子は特別なの。』

子ども達と目が合う、だが私も初めて聞いた事だ、彼等の期待には応えられない。
しばらくの沈黙の後、望が口を開いた。

「人が増えるというのが、この世界で子どもが増えるという意味なら、そんなに大変じゃない気がするわ。」
『これから新たな出会いが有って人が増えるの。』
「マリア、子ども達にいきなり重荷を背負わせるのはどうかと思うが。」
『キング、私は心配していない、それはこの子達が証明してくれる。』
「ならば、これからの…、マリアの予定を話してくれるか。」
『間もなく新たにゲートで繋がる国が有る、その国について説明を聞いてくれるわね、子ども達。』

もちろん断る訳にはいかない、全員の端末にデータが表示された、皆画面を見つめている。
私も自分の端末に目をやるが。
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