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62-犯罪 [キング-07]

新たに交流する国は、大人が六十二人子ども二十人、国土の面積は和の国に次ぐ規模。
マリアが解説を始める。

『昨日見せた各国のデータと比べてもこの国の産業に問題のないことは分かるでしょ。』
「でも、余剰食糧が少ないわ。」
『そうね、彼等なりに計算して自分達に必要な量をきちんと確保してるのかな。』
「和の国は次に繋がる国への援助を考えて多めに生産してるのよね。」
『そういう発想はこの国の人にはないみたい。』
「言葉はスコットランドと同じという事なの?」
『大体は同じ、でも違いは有るのよ。』
「大人が多いという事は平和な国なんだ。」
『今はね。』
「どういう事。」
『大人達が忘れていた事を思い出した時の事は覚えているでしょ。』
「大変そうだった。」
『この国の大人達は皆、過去に犯罪を犯しているの、その事を思い出した時に彼等がどうなると思う?』
「え~、どうだろう、でも今が平和だったら、そのまま平和に暮らしたいと思うんじゃないかな。」
『私にも分からない、今から端末の画面に映し出されるのは今の様子だけど、見ながら感想を聞かせてくれるかしら。』

端末に映像が映し出される。

「色んな人がいるね。」
「あっ、真っ黒な人がいる。」
「大人達が、えっと…、新島の人みたいに皺が多いね。」
「マリア、これは厳しいと思う、犯罪経験者の彼等に記憶が蘇ったら、すぐさま殺し合うかもしれない、特に記憶が不安定な期間は危険だ。」
『ではキングはどうすれば良いと思う?』
「これまでとは違った出会い方をするしかない、今までは和の国に代表者が来るタイミングで記憶が蘇り始めた、こちらから向こうへ行く事でも同様の結果は得られるのか。」
『そのシステムを開発した者はどちらの国と指定していない、ただ代表者による他国民との対面をスイッチにしただけだ。』
「この国とのファーストコンタクトは何時だ?」
『明後日の十時。』
「分かった、これから和の国の会議を招集するがそれを子ども達にも見せたい、今日の授業は終わりで良いか?」
『構わない、その判断に賛成だ。』

すぐに会議を招集。
対応を協議し、担当を決めた。
マリアは城の子達の教育を考えている、将来この世界のリーダーとなる四人の教育、それは新たに交流を始める国よりも重要かもしれない。
もちろん、欲張り者の私は両方を尊重する訳だが。
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