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60-マリア [キング-06]

マリアと子ども達との時間に皆の関心が集まるのは当然の事だ。

「キング、望は端末をマリアさまからのプレゼントだと話していたが本当なのか?」
「ああ、親子の連絡で普通に使っても構わない、彼等は他国のリーダー達とも必要が有れば連絡を取り合える、どうした三之助?」
「子ども達の中でも年長とは言え、優遇され過ぎてはいないかしら、下の子達も端末を受け取れるのなら良いけど。」
「それは明日にでもマリアに訊いてみる、ただ今日は驚かされる事ばかりだった、子ども達の能力が高いとは感じていたが予想以上だった。
驚いたのは子ども達だけでなくマリアもだ。
子ども達との会話がどんどん優しくなって口調までもが、私と話している時とは全く違うものになって行った、終わる頃には、もうすっかりお母さんみたいな話し方だ、子ども達を帰した後、謝意を伝えたら何て話したと思う?」
「何て?」
「あの子達はキング達の子で有ると同時に我々の子でも有る、愛情を持って子どもと接するのは大人の役目だと。」
「う~ん、意味深ね、単純に精神的なものなのか…、子ども達の天才性を考えると…。」
「まあ、俺達の子である事に違いは無いから、あまり気にしないでおこう。」
「その通りだ、端末に関してだが、この八人の端末で子ども達の端末利用履歴が閲覧できる様になった、電話で彼等の会話を聞く事も出来る、但しそれは十六歳になるまでだ。」
「そうか、ではまず、今日の履歴を確認させて貰うよ。」
「子ども達は私達が閲覧出来る事を知ってるの?」
「ああ、翔は何やってるのかお母さんに報告しなくて済むから嬉しいって、マリアに話していた。」
「そんなに根掘り葉掘り訊いて…、いたのかなぁ…。」
「おいおい、何だこの履歴はすごいスピードで端末の機能を…、これって全機能なのか?」
「マリアは現在使用できるすべてを教えたと話していた。」
「おっ、四人で会話を始めたぞ…、今から一時間共通語の入力作業をするそうだ…、あっ、何話しているか分からない。」
「自動翻訳をオンにしてくれ、まだ入力されていない部分は機能しないが有る程度は理解出来る筈だ。」
「…、成程、シンプル故に分かり易い言語かもな。」
「ああ、マリアの意見も取り入れている。」
「子ども達とマリアさまとのやり取りはどんな感じなの。」
「始めは子ども達の緊張も有ってぎこちなかったが、すぐに打ち解けた、何となくだがマリアは子ども達との時間を楽しんでいる様に感じられる、今日は午前中に共通語の入力、午後に端末の操作。
明日は子ども達の質問に答えるそうだ。」
「我々が知り得ていない事を知る可能性はどうかしら。」
「有ると思う、私自身過去に尋ねた事について訊き返す事を控えていたが、国が成長した今なら教えて貰えるかもしれないと考えている、子ども達の質問が楽しみだ。」

楽しみでは有るが怖くも有る。
この先、この世界がどうなって行くのか、まだ分からない。
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