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58-共通語 [キング-06]

全く異なる文化を持つ二つの民族が一つの国家を形成しようという事で、色々な問題が出て来るのは当然。
だが、かつての北海道と沖縄では言語も生活習慣も大きく違った、とは三之助の言葉だ。
彼女がバランスを重視しつつ両者の間に入って調整してくれた事は大きかった。
状況を考えれば和の国の元からの住民が優位に立つであろう事でも、新たな国民の立場を尊重し極力平等になるよう働きかけてくれた。
お互いに戸惑いは有ったがその壁を乗り越えつつ有る。
だが、子ども達の壁は高くなかった。

「子どもはやはり柔軟だな、敵対という概念がないのかな。」
「うちの子達の特性かもしれないわね。」
「子ども達が新しい言葉を教え始めたのは知ってるか?」
「ああ、各国の五歳児にもだろ。」
「今はまだ原始的な言語だが共通語にするそうだ。」
「きっかけは何か有ったの?」
「そりゃあ同じ物に七通りの呼び方が有っては不便極まりないだろう、翻訳機の数には限りが有るからな、で、どうしてキャベツの事をキャベツって呼ぶのか訊かれたから、昔の人がそう呼び始めたからだと話したのさ、そしたら自分達で勝手に決めても良いよねって。
それから四人で相談して共通語を作り始めた訳だ。」
「私達も覚えるべきかしら。」
「今なら簡単だよ、文法もシンプルだし、徐々に単語が増えて行くからね、言語として完成するのは先の事だろう、今は試作の段階で、単語を変更するかもしれないってさ。」
「マリアが関心を示していてな四人の子と話したいそうだ。」
「えっ、キング以外今まで誰とも話してないマリアさまが、う~ん、四人をキングの後継者と考えているのかな。」
「学校をしばらく休みにしても良いだろうか。」
「教える方が追いつかないペースで学習が進んでるから好都合なぐらいだ。」
「私が子ども達に付き添う、担当している業務をモハメドに任せたいと思うがフォローしてくれるか。」
「了解だ、新島もリーダークラスが六人残っていて助かってるからな。」
「では、明日九時から城の六階、一番東の部屋に集合と伝えて欲しい。」
「食事は?」
「運んで貰う事になるかもしれない、その時は連絡する。」
「わかったわ。」

マリアが子ども達と会うというのは大事件だ。
今、管理者と話せるのは六人のリーダーのみ、モハメドの管理者は事件が解決した後、現れなくなっている。
他の国の管理者も現れる回数が極端に減ったという、だがマリアだけは頻繁に私と討論している。
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