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事業展開-19 [安藤優-10]

杉浦と優が写真を撮り終えた所で、坂本絵里が話し掛ける。

「優くん、今日は呼んでくれて有難うね。」
「いやいや、おじさん連中が絵里に会いたがってさ、どう今度の映画は。」
「撮影が済んだ所よ、先輩俳優の優くんに恥ずかしくないものが出来上がれば良いけど。」
「はは、先輩俳優と言っても映画は二本だけだからね。」
「でもヒットしたし、特にアジア圏ではすごく有名になって、この前のテレビ見たわよ、株式会社つぼみが桜根グループ内で最大規模になりそうなんでしょ。」
「まあ、人数だけならね、その人達の生活の質を上げなきゃ意味ない、まだまだだよ。」
「桜根王国の若きプリンスとしては領民の事が心配なのね。」
「王国と言うのは違うんだけどなー。」
「良いのよ、絶対王政という訳じゃないのだから、社員達に尊敬されて…、そうね人々はヒーローの登場を待っていたのよ、そこに天才少年社長が現れて…、つぼみの子会社として独立した所の社長さん、あの話は印象的だったわ。」
「そうなの? 俺はまだ見てないんだ。」
「普通の企業なら工場を作っても、それは自分達の富を得る事が目的だから、労働者は低賃金で働かされるのが関の山だった、だけど我等がプリンスは自分達の生活向上を第一に考えてくれた、自分の国の偉い人達ですら考えてくれない事なのに、自分は社長にして貰ったけど、必ずプリンスの意に沿って成功させ、桜根というプリンスの国をもっと偉大な国にしたいと思ってる、大体こんな話をしていたのよ。」
「はは、彼は何時も俺の前ではリラックスしてくれなくてね。」
「忠誠心なら誰にも負けないみたいな事も話してたわ、でもそんな事を考えているのは彼だけじゃないみたいね。」
「まあな、だから順調に拡大している訳だけど、それぞれ国民性も環境も色々違うから現場チームは苦労も多いみたいだよ。」
「でしょうね、宗教だって違うでしょうし。」
「一つの工場内に対立する宗派の人を雇い入れた時は大変だったそうで、それ以来採用時から宗教、宗派に気を付ける様になった、そんな例は全体で共有して、まあ無理に仲良くさせるよりは、まず別で仕事をして貰いながら、桜根グループ、つぼみの仲間だと教え込んで行く、職業訓練より大変かもってさ、でも、生活レベルが向上して行くに従って、少しづつ歩み寄れる様になっているみたい、やはり生活の不満が自分とは違うグループに対しての過激な行動に繋がって行くみたいだね。」
「衣食足りて礼節を知るって事なのかな。」
「かもね。」
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