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お祭り-07 [チーム桜-02]

中田社長宅。
二人を出迎えたのは安藤隆二だ。

「今日は有難うね、山田くんも手伝ってくれて嬉しかったよ。」
「は、はい…。」
山田は緊張している、テレビで見たチーム桜のメインスタッフが揃っているから当たり前だろうが。
「ね、高校卒業したら就職ってことだけど、夏休みでも利用して幾つかの会社を体験してみないか?」
「はい安藤社長さん、チーム桜関連ですね。」
「ふふ、山田くん、そういう時は安藤社長か安藤さんって呼ぶのよ。」
「はい。」
「高卒募集してる所ならサポートカンパニーでも構わないから希望を出してくれないかな。」
「え~っと、まだぜんぜん分かんなくて…。」

「あっれ~、山田くんじゃないの。」
「あっ、ここ中田さんちだったのか。」
「えっ、山田くんは麗華ちゃんのお知り合い?」
「はい中学の同級生なんです、小学校は違うんですけど。」
「へ~、そうなんだ。」
「自主的に手伝ってくれた高校生って聞いたけど、相変わらず真面目なのね。」
「はは、そうなんだ、山田くん進学とかは考えてないの?」
「いえ、そんなに頭良くないし。」
「そんな事ないでしょ、何時も私の倍ぐらいの点数じゃなかったかしら。」
「えっ麗華ちゃん、成績良く無かったの?」
「はい、姉達とは違いまして。」
「でも中田さんは何時も明るくて元気だったよね、今も?」
「まあ、それしか取り柄がないっつうか、そうだ山田くん、会社体験するなら中田工業も体験しなよ、小さいけど良い会社なんだぞ。」
「うん。」
「じゃあ中田社長が帰られたら相談してみようか。」
「高卒の離職率は大卒より高いんだよな。」
「大学生にしたって世の中の事何も分からずに就職するする人、少なくないんだから仕方ないんじゃない。」
「でも離職した後、うまく再就職出来れば良いけど、失敗すると非正規雇用から抜け出せなくなるってことだろ。」
「何とかしたいよな。」
「まずは…、おっと御免な山田くん、会社体験してもそこに就職しなくちゃいけないって事じゃないからね。
逆に就職したくなっても、その会社の事情も有るから、そこへは就職出来ないかもしれない。
でも実際に体験しておく事は就職を考える時にプラスになると思うんだ。
で、俺達も高校生の会社体験という企画は初めてなんで充分フォロー出来ないかもしれないけど、大丈夫かな。」
「はい部活もそんなに活発な部では有りませんし、チーム桜関連なら興味が有りますし。」
「もし良かったら、自分も同じとこで体験ってどうですか?」
「そうか本田くんも会社体験希望だったんだな。
一人では心細いだろうから、考慮させて貰うよ、まだ一般の高校生からの参加募集を出来る状態ではないからね。
じゃあ、うちの担当から連絡入れさせて貰うよ、不都合な事が有ったら断ってくれて構わないから頼むな。
担当にメール入れておくよ、連絡先を教えて貰っていいかな。」
「はい。」

「えっ、もうメール送っているのですか?」
「ああ、すぐやっとかないと作業が遅れるし、忘れると行けないからな。」
「そうだった、安藤社長は同時進行で幾つもの事を動かしているのですよね。」
「実際に動かしているのはそれぞれの担当者だけど。」
「そう言えば自分たちも、ここへすぐ呼んでくれて。」
「ああ、祭りがきっかけとなって色々な動きが有ってね、俺も一つぐらい進めたいと思ったのさ。」
「色々な動きですか?」
「来場者とスタッフ、来場者同志とかで話し合いが進んでいるんだ、多くの方に来て頂いた事も嬉しいが、仲間同士の繋がりが深まって行く事は本当に嬉しいよ。
意見が違ってもモラルを守る方ばかりだから、特に問題も起きてないし。」
「じゃあ祭りは成功という事ですね。」
「ああ、俺の読みが甘くて皆さんに迷惑をお掛けしてしまったが、入って来てる報告からすると成功と言って良さそうだ。」
「良かった、自分は難しい事は全然分からないんですけど、世の中が良くなる一歩なんですよね。」
「ああ、そうであって欲しいな、山田くんは今の世の中に問題を感じているのかな。」
「うちは…、あまり余裕がなくて…。」
「あっ、ごめん、う~ん、でももし良かったら色々教えて貰えないかな、えっと一番話し易いのは…。」
本田の方に目をやる山田。
「本田くん、良かったたら山田くんの話しを聞いてあげて欲しいけど、どうかな。」
「もちろんOKですよ、一緒に会社体験するかもしれない仲間ですから。」
「じゃあ頼むよ。」

麗華が二人を別室へ案内する。

「山田くんの家は要支援家庭じゃないのか、佐紀どう思う?」
「可能性有るわね、本田くんの報告を待って…、隣の学区だけどここのチームに協力要請するわね。」
「ああ頼むよ、でもあの二人出会って間が無いのに兄弟みたいな感覚なのかな。」
「仲間同士という事に間違いはないわね。」
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