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お祭り-06 [チーム桜-02]

緊急応援要請に応えた学生達が誘導に加わり始めて十一時頃には会場が落ち着き始めた。
朝から動いて来たスタッフには交代で休憩する様指示が届く。

「手伝ってくれて有難うな、助かったよ。」
「いいえ自分も仲間ですから当たり前の事です。」
「今更だけど、俺は本田祐樹、大学三年生だ。」
「自分は山田篤、高校二年生です。」
「もし良かったら、おにぎりの用意が有るけど食べに行かないか、君の分も用意して有るんだ。
お店の方は大変そうだからね。
まあ、おにぎりじゃお祭り気分じゃないか。」
「いいえ、お祭り気分は人の多さで充分です。
それより、チーム桜の事、もっと知りたいです。
花を咲かせましょうは創刊号も二号も読みましたけど、実際に大学生の方のお話しを聞けたらと思って来たんです。」
「そうか、じゃあ集会所へ行こう。」

集会所でおにぎりを受け取り公園で食事を取る本田と山田。
「昼食の準備も大変そうでしたね。」
「ああ、余ったら自分たちの夕食にするぐらいのつもりで増産してるってさ。」
「どこで作ってるんです?」
「大学と地元婦人会の方のお宅とか、あちこちで来場者向けに販売もしてるからね。」
「どうして、これだけの反響が有ったのですか?」
「色々有ると思う、今までだって社会問題に関心の有る人はいただろう。
でも、そこに関わって行くのは大変な事だからなかなか動けなかったと思うんだ。
その点チーム桜は参加し易い体制を作っている。
まあ動機は人それぞれだろうけどね。
裕子さんや桜子さんに憧れてという人もいるかもしれない。
佐々木代表や安藤社長の話しに心を動かされた人もいるかもな。」
「自分もそうです、でもクラスの連中はあまり興味がないみたいで。」
「高校生だとそんなものかもな。」
「大学受験の事が気になってると思います、自分は高校を卒業したら就職するつもりですから…。」
「そうか、就職って色々考えるよな、不安も有るし、その部分では俺達同じだな。」
「そうですね。」
「どんな職種を考えてる?」
「ぼんやりとは、工場で働くのかな~とか、でもきついのかどうかも全然分からないんで。」
「だよな、俺はチーム桜の会社体験実習を考えてるけど…、高校生向けって見てないな、山田くん、もし工場体験の場が有ったら経験してみたい?」
「はい。」
「ちょっとメールを…、う~ん誰に入れれば良いのか…、今日は皆忙しいだろうから、新規企画受付へ入れてみるか…、山田くん、家はここから近いの?」
「はい、隣の学区です、今日は歩いて来ました。」
「後でメアド交換しないか。」
「お願いします。」
「おっと実行委員会からメールが届いたから返信させてくれな。」
「はい。」

「応援が増えてるから、ゆっくりさせて貰えそうだよ、俺達も会場を回って気が付いた事が有ったら連絡して欲しいってさ。」
「どこへ行きます?」
「まずは公園が近いから行ってみないか。」
「はい。」

しばらく公園の様子を見て回る。
そこへ本田の携帯が鳴った。
新規企画受付担当から中田社長宅へ二人で向かう様指示。
場所の説明と他言無用と伝えられた。
「なあ中田さんちまで二人で来て欲しいってさ、良いかな。」
「はい。」
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