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架空サークル-87 [俺達の挑戦-02]

一月は大人達が動いた。
学生達の期末試験に配慮しての事でもあるが、持ち株会社の設立、そして傘下に入る企業との準備作業等には協力会社からの出向者があたることとなった。
某企業からの出向者二名、居酒屋にて。

「ほんとは学生達に任せたかったけどな、こちらで指導しながらでも。」
「いや、基礎作りはきちんとしとかないと、もう学生だけの組織じゃないんだし、今後利害関係が色々出て来るだろうから、俺たちが守ってやらんとうまく行かないぞ、時間的な問題も有るし。」
「そうだな、それにしても他の協力会社もがんばってくれてるよな。」
「ああ、金も人も出す、上の連中の熱意が感じられるよ、佐々木代表、安藤プロジェクトリーダーの力なんだろうけど、もちろんサポート企業としてのメリットも出て来るとは思うが。」
「優秀な学生と知り合えたり、大学との良好な関係が築けたり、他の企業のノウハウに接することが出来たり、中小とでも思わぬ業務提携が出来るかもしれないし、社宅の共同管理とかの案も出てる、遊休地の有効利用の話しもあったな。」
「うまく行けば軽く元は取れるということか。」
「こういったことが学生二人の口からどんどん出てきたそうだからな…、佐々木代表が会社体験実習をした所では、彼のアドバイスから新規事業が始まるらしい、中田工業も安藤リーダーとならって感じで今回の事を引き受けたらしいぞ。」
「小さいけど安定してるから参加する必要もなかったろうけど、あの位置に健全な会社が有ることの意味は大きいよな。」
「伸び悩んでいる企業同士くっつけるのも始めはハードルが高いし、旗艦会社が大きすぎると吸収合併とか心配する社長もいるだろうし、合併も視野には入れてるが先の話しでないと、企業が参加しににくくなるなるからな。」
「でも中田工業としてのメリットって有るのか?」
「直接的には社員募集や次期社長の問題が有るらしい、定年退職する社員の補充も小企業だと難しいだろうな、中田社長のお子さんは女の子三人で娘婿に継がせる手も有るが、娘達に変な負担を掛けたくないそうだ。」
「そうか、でも一つのシンボルとなる訳で、ずいぶん大変なことになりそうだけどな。」
「その辺りは学生達の支援が有るからってさ、学生達も期末試験よりこのプロジェクトに力を注ぎたいって話してた。」
「でも学業を疎かにする者は組織の中核では動けないってことだったよな。」
「ああ実際真面目だ、プロジェクトの組織作り関係で何人かの学生と話す機会が有ったけど、皆、素直で邪心がないんだよ。」
「学生達を駆り立てているのは何だろうな。」
「漠然と就職してって考えていた子達に、違った価値観を芽生えさせたんだと思う、佐々木代表がね。
学生であろうと社会の中の一員、大人達の築き上げてきたものを単純に否定も肯定もせず、見直して行くのが自分達の役割だとか…、あの本の影響は大きいと思うよ。」
「う~ん、もう一度読み直してみるかな。」
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