ぞうさん

「さびしげな君の瞳　瞳の奥で見つめているのは何？　遠く離れた故郷？　今はいなくなってしまった仲間？」

「？　おにいどうしたの？」
「ああ、ちょっと作詞にでも挑戦してみようかと思って…、ぽてちどうだ？」
「どうと言われましても…。」
「きらきらしたのとか、人の心を動すような言葉をうまく並べられるとは思ってないんだけどね。」
「身の程知らずって訳でもないんだね。」
「ま、まあな。」
「でもさ、詩とかってテーマがあるんでしょ、おにいの作品のテーマは？」
「そうだな、故郷を遠く離れて…、ってとこが中心かな…。」
「題名は？」
「ぞうさん。」
「えっ？」
「だから、ぞうさんだ。」
「それって、ちょっと…。」
「分かりやすいように、ぞうさんの写真もＵＰしておいたんだが。」
「いいけどさ…、もう少しひねりがあっても良いんじゃないかな～。」
「そ、そうか…？」
「ぞ～うさん♪　ぞ～うさん♪　お～はながな～がいのね♪　なんて曲もあるんだし。」
「う～ん、あの名曲と張り合おうなんて一億年ぐらい早い気もするな。」
「もう少し真面目に考えたら？」
「そうするか…。」

「でもどうしてぞうさんにしようと思ったの？」
「ゾウだけじゃなく、動物園にいる動物たちの目ってどこか物悲しげに感じるんだ。
こっちが勝手に思ってるだけかもしれないけど、元々の生息地から遠く離れた所で狭いとこに閉じ込められて…。」
「確かに可哀そうな気もするね。」
「それだけじゃない、絶滅危惧種なんて地球全体で仲間がとても少なくなってしまって…、生き物の本能である子孫を残すということが出来なくなってきていて…。」
「悲しい現実なんだ…。」
「まあそんなところを下手なりに言葉に出来ないかと思ってな。」
「動機は真面目だったんだね。」
「下手なのすら完成できないかもしれないが…。」



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