梅からの…

「梅、咲きぬ、高き梢に…。」
「おにい、梅がどうしたって？」
「咲いたんだよ、ぽてち、『梅咲きぬ』って三好達治作詞、柴田南雄作曲の合唱曲があってな、私が生まれる前の作品なんだが。」
「なんか難そう。」
「たしかに今の人が普通に話してる口語とは違うから、ぽてちにはちょっと難しいかもしれない。
まぁ、私もそんなに文語体に詳しい訳じゃないから…、自分じゃ、こんなの絶対書けない。
ただ、こんな文語体の詩は、言葉の響きに落着きがあって日本語って良いなって思うんだ。」
「ふ～ん。」
「梅が咲いた、高い梢に、では意味は同じでも、イメージが違うんだな。
で、なぜか梅を見てると、この曲が浮かんでしまうんだ。
知らない内に梅の花と、この曲が私の頭の中ではセットになってしまっていたみたいなんだよ。」
「そうなんだ、でも聴いたことない…。」
「たしかにメジャーな曲じゃないからな…、あっそうだ、もっと古い曲なんだけど色んな人がカバーしてる『蘇州夜曲』って曲があるんだ、西條八十作詞、服部良一作曲なんだけどね。
若い人達にも聴いて欲しいと思う。
西條八十の描く世界って素敵だし、服部良一の曲も良いんだよ。」
「おにい、検索したらカバーしてる人が沢山出てきたんだけど…。」
「私的には、李香蘭（山口淑子）が好きだな。
ちなみに文字通り、波乱万丈の人生を送られた方だから、ここでは紹介しきれない…。」
「あっ…、たしかに…。」


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