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F組三国志 4-2 [F組三国志 4 山影静]

東山公園までの時間、色々聞かれた。
今までみなと話さない様にしてきたから仕方ないか。
それに答えてる自分が滑稽だ。
赤澤さんは、そんな私をにこにこしながら見てるだけ。

「スケッチブックを持ってきたってことは、趣味は絵とかなの?」
星屋は絵に興味があるみたいだ。

「ええ、少し見てくださる。」
スケッチブックを広げて見せる。
最近描いた中では自分でもお気に入りの一枚。

「おっ、うまいじゃん!」
「ほんと、すてきね。」
いつもの様に褒められる。
中学の頃から当たり前になっていた。
でも、それが嬉しいから、必要のないものまで持ってきてしまうのだろうか。

「ねえねえ、画家志望なの?」
「えっとね…。」
色々訊かれ、それに応える自分。
少し面倒。
赤澤さんが見ていなかったら、黙っていたかもしれない。

赤澤さんには、いきなりグループに誘われた。
しかも強引にだ。
驚いたというかとまどった。
そして、遠足で絵を描いて欲しいと頼まれたのには驚いた。
私が絵を描くことを母は好ましく思っていない。
当然、美術科進学は無理なわけで…、あきらめてから、高校では絵は描くまいと思った。
だから美術部にも入っていない。
私が人並み以上の絵を描くということをこの学校で知っている人はいない筈だった。
断る理由が思い浮かばぬまま…。

「どうして私に絵を?」
「だって上手じゃん。」
「えっ、見せたことない筈だけど。」
「ほら、ノートの表紙に描いてたろ。」
確かに、授業中の暇な時描いてた。
でもそれ程大きな絵でもなく…。

「今度の遠足はねクラスのみんなが少しでも親しくなれるきっかけにしたいと思っているんだ。
で、山影さんは、話さなくて良いから、絵を描いてくれたらと思ってさ。
ね、いいでしょ。」
とまどいはあったが、退屈そうな遠足が少しはましなものになるかもしれない。
なんとなく、うなずいている自分がいた。

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