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学校設立-3 [権じいの村-8]

「では、学校説明会を始めます。
ある程度情報は伝わっていると思いますが、確認のため基本的なことも説明させていただきます。
お手元の資料をご覧下さい。
本学の発案者である、白川慶次先生のお考えにそって、本学運営のポイントとしましては、生きていく力を養うこと、自分の力を伸ばすこと、暗記より考える力を養う、自学自習能力を身に付ける、縦のつながりのある学校運営などを挙げておきました。

本学の取り組みは、今の学校教育の無駄をどこまで減らせるか、本当に子どものためになる教育とはどういう形か、という実験的なものでもあります。
そのため、カリキュラムはかなり自由なものとなり、基本的に能力に合わせての学習となります。
小学生でも興味があればどんどん先の内容に取り組んでもらいます、高校の範囲まで進んでも問題ないと思っています。
逆に高校生でも、例えば計算が苦手であるのならば、基礎計算に取り組んでもらいます。
基礎的な内容が理解できていない子に因数分解を教えても無駄だと考えています。
苦手な教科はあっても嫌いな教科がなくなるように、子どもたちに色々なことにに対して興味を持たせることが教師の役割となります。
場合によっては、教師が教えることなく自習だけで、どんどん先の範囲へ進む子も出てくると思っています。

小学四年生まではテストを行いません。
授業の過程で子どもたちの様子を見ていればテストをする必要はないと考えています。
5年生以上は別の付属学校と全く同じ定期テストを受けてもらいます。
これは、転校することになった時の備えと考えて下さい。
一般の学校ではどんな進み具合なのかを本人に確認してもらうことが目的です。
全く学習してない内容が出てくる可能性もありますから、点数は一切気にしない、ということが入学条件の一つです。
テストの点数が低くても、生きていける力が身に付けば良いと思っています。

基本的な躾に関しては、ご家庭で行って下さい。
学校で教えることではないと考えています。
特に老人の方と触れ合う機会も多くなると思いますので、お年寄りを敬う気持ちを持たせて下さい。
また、この学校の最大の特徴ですが、幼児から高校生まで、そして大学生も含めて縦に繋がりのあるグループを作って行きます。
この過程で能力が年齢とは逆になる可能性も多々あります。
やはり年長者を敬う気持ちを持たせていただかないとトラブルの元になりますのでよろしくお願いします。
では、ここまでで何かご質問はありますでしょうか?」
「はい。」
「あっ、どうぞ。」
「グループ分けはどんな感じになるのですか?」
「しばらくは子どもたちに任せるつもりです。
自然な形で気のあった子たちが集まるのが理想ですから。
ただ、どのグループにも属さない子が出そうだったら、こちらで…、でもたぶん子どもたちが解決してくれると思っています。
グループも固定のものではなく、遊ぶ時と学習する時では違ったものになります。
遊びの内容によって変化していくでしょうし。」
「人数もばらばらになるのですね?」
「はい。」
「学習時のグループはやはり能力別なのですか?」
「学習内容によって変わります。」
「特に能力別にする必要のないこともありますから。」
「有難うございました。」

「よろしいですか?」
「どうぞ。」
「カリキュラムは具体的にどんな感じになるのですか?」
「小学四年生までは自然と触れ合う機会を多くしてその中で学習していきます。
例えば算数でも外で実際の物を見ながら、足したり引いたりとか、十メートルという長さがどれぐらいなのか実際に計ったりとかします。
単位を紙の上だけの文字の表現で教える、なんて馬鹿げたことをしてる教師もいますが、ここではそんなことは有りません。
小学五年生以降は最初に自分でカリキュラムを組んでもらおうと思っています。
我々のアドバイスの下、小学校から高校までの教科書を簡単に見せながら…、例えば比例から関数までの流れを説明して、今の学校では少しずつ先へ進んでいることでも、できると思ったら一気にやっても良いという感じですね。
歴史だって、小学生がいきなり中学の教科書を使っても良い訳です。
学年という区切りはあまり関係有りませんから途中で変更しても構わないと思っています。」
「好きな教科ばかりに時間を割くことになりませんか?」
「苦手な教科も一通りはやる様にアドバイスしていきます。
また取り組み易いように、漢字検定ゲームみたいな形にしたり、ビデオを利用したりとも考えています。」
「一時限、二時限という区切りはどうなりますか?」
「特に区切りません。
自習中心の場合は自分の判断で休憩をとってもらいます。
朝の登校時間と昼の食事時間だけは決めますが、後は臨機応変に子ども達と教師の判断で、となります。
下校時間は三時以降という形です。
早く帰りたい子は三時になったら帰っていい、学校でみんなと遊んでいたかったら、まあ小中学生は暗くなる前に帰れる時間までとなります。
高校生はもっと遅くなっても構わないと思っています。
大学生たちとも色々な形で交流して欲しいですから。」
「白川先生から直接子どもたちへお話しをいただける、ということも有るのでしょうか?」
「あると思います、これからもっと、お忙しくなりそうですが、白川先生でなくてもできることは極力スタッフの方でカバーしてお時間を作っていく方向で動いています。
先生自身は自分が校長になりたいぐらいのお気持ちですから…、ただ、先生の夢の大きさから考えると限られた時間になるとは思いますけど。」
「でしょうね…。」

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