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山村体験-8 [権じいの村-5]

「慶次さん、山村体験の方々は皆さん、ここで暮らすことになったんですね。」
「まぁ、面接の段階で、村に残ってくれそうで、プロジェクトにプラスになりそうな人を選んでおいたからね。
真一は三人のことどう思う。」
「そうですね、吉田さんは学生たちの兄貴分ってとこですか、学生をあの家に泊めるなんて僕は思ってもいませんでした。」
「家に余裕を持たせておいて正解だったな。」
「慶次さんは、それも見越していたのですか…。
西川さんは次の山村体験の方を受け入れる時に、色々面倒を見てくれそうです。
それに、お店の店長をお任せしてもいいかも。」
「ああ、以前に経営していた店をつぶしたそうだけど、こんどの店が倒産することはまずないからね。」
「高柳さんは三十代半ばですか…、う~ん、うまく言えないんですけど…、リーダータイプですか?」
「うん、彼とは色々話してね、大学とは違った視点で、このプロジェクトを支えてもらうことになりそうだよ。」
「どんな感じなんです?」
「この村を広く見ていただくってとこかな…、その後…。」
「その後?」
「市議会議員になってもらう。」
「えっ?」
「まだ、ご本人もご存じない、俺の勝手な考えだけどね。
しばらく彼の様子を見て、俺の判断に確信が持てたら伝えるつもりなんだ。」
「はい…。」
「高柳さん、俺の考えにすごく同意してくれてな。
このプロジェクトのために働きたいって。」
「はは、慶次さんの話しを聞いたら、そう思う人少なくないですよ。」
「まあな、で、とりあえず彼には、この村のすべてのお宅を訪問して、聞き取り調査をして下さいとお願いしてある。」
「そういった調査なら学生でも…。」
「調査用紙は一切持たないし調査結果を全部報告する必要もない、高柳さんが我々に伝えるべきだと感じたことだけ報告してもらう。
調査と平行して、このプロジェクトに対する村の人からの質問に答えてもらう。
その場で答えられなかったら、翌日、答えを持って再度訪問してもらう。
学生のやる調査では表に出てこないことを、聞き出してもらうという一面もあるんだ。
相手が学生なのと高柳さんでは話題も当然違ってくるからね。」
「あっ、住民の生の声を聞いて…。」
「本来の選挙活動そのものを実践してもらうのさ。
あるべき選挙運動の姿と言ってもいい。
この村で手ごたえを感じてもらえて、俺も確信を持てたら市議会議員の話しをして、了承してもらえたら選挙区内の全戸訪問をしてもらうつもりなんだ、調査という形で立候補の予定とかには全く触れなければ問題もないかと思ってね。」
「次の選挙までは…?」
「時間は十分ある。」
「じゃあ、政治学とかの先生と連絡を取りますか?」
「それは、まだいいよ。
ただ名刺が必要になるんだ。」
「名刺なら簡単に作れますが。」
「問題は肩書きなんだ。
大学関係者からクレームが出てもいけないし…。」
「そうですよね…。」
「何かいいのないか?」
「う~ん…、いっそ開き直って、権じいの村、村民なんてどうです?」
「うん、そうか…、いいかもな、権じいのロゴも作ってさ、俺のも作ってくれよ。」
「はい…、自分のも作ろうかな…。」
「はは流行したりして…。」




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