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東沢健二と西園寺優子 [Lento 1,春から初夏]

Lentoの休憩室
健二はノートに何か書いている、そこへ仕事を上がった優子が

「健二お疲れ。」
「あ、優子かお疲れ。」
「また企画の演出考えているの?」
「うん、今度はドイツのビアホールでバイオリン弾きが客とからみながら演奏するってイメージでさ、Lento夜の企画第一弾とは少し違うけどね。」
「夜企画第一弾は大成功だったんでしょ?」
「まぁ俺もがんばったからな。」
「オープンからの硬めのイメージを一新したって聞いてるわ。」
「はは、あの時はちょっと時間がかかったけどね。」
「どんな感じだったの?」
「白川オーナーが俺たちに話を持ちかけて、そのまんま盛り上がっちゃったから、緑川支配人や佐山マネージャーは、ちょっととまどったわけさ。」
「もめたわけね。」
「それが、そうでもなくて、う~ん、そんなところが支配人やマネージャーのすごい所かも、その後のデスカッションで話がまとまって色々決まって行ったな。」
「緑川さんたちが妥協したってこと?」
「そんな感じじゃなくて支配人たちも色々検討してたってことかな。」
「へえ~。」
「デスカッションを繰り返して、Lento夜の企画の基本を作ったって感じだね。」
「スタッフがエキストラするとか?」
「うんそうだよ、あの時に時間をかけた分、その後の企画は楽になったと言えるね。」

「今度はどんな感じになるの?」
「メインは遠山さん、ビアホールのバイオリン弾きのイメージにぴったりだろう?」
「気さくな人だもんね、でもあの人コンサートマスターやってるのよね、よくこんな企画に乗ってくれたわね。」
「それが逆だったりしてね。」
「どういうこと。」
「遠山さんから支配人にやりたいって、前からお客様のすぐそばで演奏してみたかったんだってさ、Lento夜の企画第一弾の噂を聞いてのことらしいよ。」
「へ~。」
「で弟子みたいな役どころで、先崎にも出てもらうことになってる。」
「彼も最近伸びてきてるわね。」
「ああ、どうやらその辺を見込んで遠山さんからの指名さ。」
「スタッフエキストラはどうなってるの?」
「遠山さんト-クもうまいし、真子さんの踊りも途中に入れて欲しいって言われててさ、今回はそんなに必要ないかな。」
「え~、じゃあ私は入れないの?」
「掃除のおばさんなんて役どころなら…。」
「え~、何それ!」

「待てよ、優子なら遠山さんの娘って設定もありかもな。」
「む、娘って何するの?」
「あんなことや、こんなこと…。」
「ちょっと~。」
「バイオリン演奏の合間に娘が入って来て父にささやく、お客さまに聞こえる台詞でも聞こえなくてもいい。」
「すると?」
「どうなんだるんだろう?」
「え~?」
「企画ものは大きな設定はしておくけど後はアドリブなんだぜ。」
「ということは…。」
「君が何を言ったかで後が変わって行くのさ、お客さまに聞こえるセリフだったら、部屋にいるスタッフはそれに合わせて動く、遠山さんにささやくという場合、お客さまもスタッフも何を言ったか想像することになる。」
「責任重大なんだ!」
「いやそれほどでもないんだ、前もって何を言うか俺や遠山さんに教えておいてくれればね。」
「アドリブじゃないの?」
「全部アドリブにすると曲が組めないだろ。」
「それも、そうね。」
「じゃあ遠山さんの娘になりたかったら、明日までに台詞を考えてきてね、オーデションはこの休憩室でやるから。」
「オーデションがあるの?」
「当然だろ、遠山さんの演奏をお金を貰って聴けるんだぜ、皆出たがってるよ。」
「それもそうね…。」
「でも優子はバイトランク高いから優先はしてもらえるよ、ただ…。」
「ただ?」
「下手すぎたらボツ、自然な感じでやれよ。」
「うん、わかったわ。」


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