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梶田梨乃-06 [F組三国志-04]

 父さんと高山さんは経済の専門用語なのか難しい言葉を交えた話しをしている。
 私には良く分からないことばかり。
 でも、父さんは、何か嬉しそう。

「ということは、チーム赤澤のみなさんは色々な形で、私の会社に協力して下さるという事なのですね、省吾…、うっ、省吾くんなんて気安く呼べないな、えっと省吾さん…。」
「いえ、気軽に省吾、とか呼んで下さい、組織のトップが普通の高校生にへりくだっていてはマイナスになります。」
「自分もそう思います、まあ、矢野は省吾さまと呼ぶべきだと思いますけどね。」
「高山~!」
「チーム赤澤が梶田さんの会社と連携出来て成功したら大きいです。
 厳しい就職状況を抱えている大学生と、不況にあえぐ企業が力を合わせて困難を乗り越えることが出来たら、学生にとって良い経験となるばかりでなく、就職先が増えることになるでしょう、梶田さんの会社にとっても、単に会社の危機を乗り切るという事だけでなく、優秀な学生を社員に迎え入れるきっかけとなるかも知れません。」
「う~ん、私もチーム赤澤の一員になりたくなって来たのだが、どうだろう。」
「あっ、それは良いかも、な、省吾。」
「そうですね…、それで高山さんが動き易くなるのなら有りです。」

 ええっ、ってことは父さんが省吾さんがリーダーを務めるグループの一員になるってこと?
 それじゃあ、私は…。
 う~ん…。

「私も、チーム赤澤の一員にして貰えませんか。」
「梨乃。」
「父さん、私も勉強するから。」
「うん…、省吾くん、どうかな。」
「そうですね、梨乃さんにはまずF組のチーム正信に入って欲しいですけど…、チーム赤澤、プロジェクト梶田の一員として動いて頂きましょうか、ね、高山チーフ。」
「了解、リーダー、梨乃さんとはテスト明けくらいから梶田さんの会社を一緒に見させて頂き状況を把握して貰うということで、梶田さん如何です?」
「お願いするよ、娘は会社のことは何も知らないからね。」
「省吾、結果は定期的に報告するからな。」
「おっけ~。
 で、梶田さん、自分も一度は工場見学をしたいのですが。」
「勿論、大歓迎だよ。」
「えっと、美咲とかも一緒で構いませんか?」
「当たり前だ。」
「それで…、高山さんが調べて色々難しそうだった場合の、奥の手も考えているのですが。」
「えっ、どんな?」
「マスコミの利用です。
 難しそうでなくても、梶田さんの判断で実行に移して良いことなのですが。
 厳しい就職状況を抱えている大学生と、不況にあえぐ企業の連携という話題をうまく提供出来れば、テレビ局か新聞社が扱ってくれるかも知れません。
 そこでの扱いが良ければ、取引先などとの交渉にプラスになると思うのです。
 大学生だけでインパクトが弱ければ、そこに高校生も協力しているというのも有りです。
 クラスの仲間には画家もいます、もちろん素人ですが、会社のイメージアップにつながる何かが出来ると思うのです。」
「マスコミか…、失敗したらかっこ悪いなんて考えている時ではないな。
 うん、奥の手としてでなくても、実行可能なことが有るのなら、この際何でもやってみたいよ。
 はは、リーダーが高校一年生というだけでも充分インパクトがあると思うけどな。」
「でも…、自分がリーダーという形はあまり取りたくないし、外には出したくないのです。
 普通の高校生がリーダーでは、皆さんが低く見られかねません。」
「知識は高校生離れ、色々なアイデアを持っていて…、どこが普通の高校生なのだか。」
「いえ、自分は…。」
「省吾の頭の中は美咲ちゃんのことでいっぱいなんだよな。」
「はい。」
「はは、そうか、じゃあ今は普通の高校生と言う事にしておいてあげるよ。」
「お願いします。
 あっ、矢野さん、F組も関係して行くと思いますので、プロジェクトFにも影響が出ます、協力お願いしますね。」
「ああ、了解、プロジェクトFも思わぬ展開になりそうだな。」
「省吾、チーフが矢野で大丈夫か?」
「高山、俺はな…。」
「大丈夫ですよ、サブに早川さんとか就いてくれてますから。」
「矢野、省吾から、しっかり勉強させて貰えよ。」
「あ、ああ。」

 省吾さん、大学生にも教えてるってこと?
 す、すごい、普通の高校生な訳がないわ。
 そう言えば須田さん、飛び級制が日本で充実していたら、省吾さんはとっくに大学生だったかも、なんて話してたわね。
 足元にも及ばないけど、私も頑張らなくっちゃ。
 まずはテストで結果を出すぞ。
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