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秋山美咲-01 [F組三国志-01]

 赤澤くんと明日の朝は待ち合わせ。
 楽しくて何も考えずに約束してしまったけど、男の子と待ち合わせなんて初めてのこと。
 今になって、またドキドキして来た。
 でも、もっと話していたかったなぁ~。

「美咲、ぼんやりしてるとキャベツの代わりに手を切るわよ。
 慣れて来た頃が一番怪我し易いのだから気を付けなさい。」
「うん、大丈夫よ、でも…、もう少し軽やかに切れる様になりたい、高校に入学してから毎日夕食準備を手伝ってるのにまだまだ…。」
「調理実習上手く行かなかったの?」
「そうでもないけど、包丁の扱いが凄く上手な男子がいてね、カッコ良かった。」
「もしかして、その人と?」
「えっ?」
「今日のデート。
 男の子とカフェなんて初めてじゃなかったかしら?」
「まあ、初めてかも。」
「ふふ、ご感想は?」
「ドキドキだった…、でも彼もドキドキだったみたい。」
「うぶなんだ。」
「そうなのかな…。」
「どんな人?」
「前からね、頭の良さそうな人だなって思っていたの。
 だってさ、休み時間に読んでいる本が、集団と心理、とかなのよ。」
「チェックしてたのね。」
「何となく…、数学が得意みたいで。」
「そっか、美咲にはないものを持ってるんだ。」
「ど~せ、数学ダメダメですよ~。
 でね、お堅いだけの人かなっ、とも思っていたのだけど、クラスのことを相談したら色々考えてくれてね。」
「うんうん。」
「その話しが、大人だ~って感じなの。
 ご本人が言うには、お父さんの影響が大きいのだって。」
「へ~。」
「お父さんは大学の先生。」
「なるほど。」
「でねでね、料理はお父さま直伝だとかで…。」

 話しは尽きない。
 秋山美咲、蟹座生まれの十五歳。
 今まで何度か告られたことはあるけど、いつも何か違うと思ってた。
 私を好きになってくれるのは嬉しいけど、この人と一緒にいたいと思うことはなくて…。
 赤澤くんのことは気になっていた。
 授業中でも、時々妙に大人びた発言をするし、そして、それが理にかなっている。
 同じ学年とは思えない時もあった。
 今日色々話をして…。
 美咲、マジで惚れたか? 
 あ~、またドキドキしてきた。
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