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社-08 [シトワイヤン-28]

グループ企業でなくとも、知り合いの社長達、そう市民政党若葉の立ち上げに協力してくれた社長達は互いに協力し合っている。
その形を舞姫さまの名の下、世界に広げて行くのは面白いと思う。
地球市民党の拡大に企業の経済的メリットを加味出来れば党員が増えるという話になった。

「中東の企業が参加する可能性は有るかしら?」
「そうだな、舞姫さまの社は現地の企業と共同で建てた、その辺りの繋がりを発展させれば可能だとは思う、だが問題は宗教指導者の動きだろ。」
「姫さまのことが、まだ充分伝わっていないから本格的に排除の動きまでには至ってないが、快く思ってはいないだろうという話でしたね。」
「DVDが売れ始めたからな、ヨーロッパからの情報をどう判断してるかだね。
こちらとしては、政治団体、地球市民党のシンボルで通すのだけど。」
「今向かってる先は、次期国王となりそうな王子の力で問題ないと思いますが、そこで歓迎され過ぎた場合、二つ目の訪問国がどう出るか微妙ではありませんか?」
「ああ、王子は国賓として招いてくれたが、それに負けじと歓迎してくれるのか、その逆になるのかだが、まあ結局、行ってみなくては分からないな。」

空の旅は長い、時差を調整するために仮眠を取ったりしたが、今後の様々な可能性が頭をよぎり落ち着かなかった。

空港で、にこやかに出迎えてくれた王子は、到着前から姫さまの祝福を感じていたと笑う。
出迎えの人達は一様に胸の前で手を組むという、日本で定着し始めた姫さまへの感謝スタイル、女性は姫さまグッズを身に着けているが、全ては王子の指示なのだろう。
随行のスタッフ達は全員テロに備えて緊張していたが、何事もなく王宮へ。
歓迎行事はゆったりとしたスケジュールで組まれていて、王子の姫さまに対する気遣いが随所に感じられる。
通訳の人によると、町の人達は姫さまの祝福がイスラムの教えに無い体験という事で戸惑いながらも癒されていると教えてくれた。

王子は原油に依存しない国作りを考え、改革を進めている。
ただ、王国と地球市民党とは真逆の存在だと思う。
おそらく王国を取り仕切っている人達は地球市民党の理念に賛同出来ないだろう。
それでも、姫さまの力が大きいとはいえ、我々を受け入れてくれた王子は明日を見据えるリーダーだ。
今回の交流が今後の友好関係を構築して行く足掛かりになれば良いと考える。
王子が何を何処まで考えているのかは分からないのだが。
もっとも、民主主義を名乗る政権でも、危うい政治をしている国は幾つも有る。
そんな国よりは安心して付き合える国だと私達は判断した。
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