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新学期-419 [花鈴-42]

 倒産の危機に直面している会社の実情を教えて貰うのは面白かったが、株式会社花鈴がそんな状況になってはならないと身の引き締まる思いも。
 ただ、母曰く、兄の判断は間違ってないそうで。
 つまりは、兄が社長となって再建に取り組むこととなった。
 通信制高校の一年生が社長を務めることも、商品への注目度を高めることになるのだ。
 兄が社長になれば彼の師や仲間が後押ししてくれることにもなり、現社長には無かった人脈が広がって行くだろう。

「お兄ちゃんは会社をどう改革して行くの?」
「まずは給与体制の見直しからだ。
 そこをきちんとしておかないと転職し易い優秀な人達が離れて行ってしまうだろ。
 メインの商品が売れてるのに事業拡大の失敗で、賃上げが物価高に追いついていないからな。」
「融資額が膨らむと思うのだけど回収出来るの?」
「ああ、暫く名古屋のお爺ちゃん家から通って色々改善して行くつもりなんだ。
 俺が社長になるのなら応援すると言ってくれる人が結構いてね。
 その人達と相談しながら、色々試してみたいかな。」
「試す?」
「パートさんを含め全従業員と面談してからになるけど、働き易い職場にしたい。」
「そうね、工場の環境は改善すべきだと強く感じたわ、まずはトイレよね。」
「ああ、既にトイレの全面改修は発注済だよ。
 新社長からの贈り物としてね。」
「トイレを綺麗にしてくれた新社長として受け入れて貰う、そんなとこ?」
「まあな。」
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