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夏休み-85 [花鈴-09]

 色々相談した結果、中沢さんと藤田さんはうちのアルバイトとなった。

「花鈴姫、徳沢は姫にとってどんな存在なのです?」
「そうね、雑事を任せられる頼もしい人、少し成長して見返りを求めて来る様になったわ。」
「成長して?」
「お坊ちゃん育ちだからか社会のことを知らなくて、社会学的観点から色々話して来たの。」
「う~ん、姫は大学生に指導している小学五年生なのですね。」
「中沢さんは居酒屋でのバイトを通して視野を広げて来たし、藤田さんは奨学金の問題から社会制度のことを考えてるでしょ。
 彼はバイト経験が無いからか今でも理想論に走りがちなの、公務員を目指しているのは有る意味正解なのかも、悪い人ではないから消防団で可愛がられていてね。」
「完全に上から目線ですね。」
「彼が私達の調査に来てるのだからと言って、こちらが下手に出る必要は無いでしょ。
 私の指示に従って行動することによって調査対象の一人で有る私のことを知ることが出来るのよ。
 始めは彼の方が上から目線だったのだけど。」
「花鈴姫から色々教えられ反省してるとは言ってましたが…。
 姫は社会学的な考えをどの様に学んで来られたのです?」
「ベースは両親との会話です。
 毎日の夕食時間は私にとって学びの場なのだと、株式会社の会長に就任してから強く感じています。」
「纐纈社長から指導して頂けるなんて、羨ましいです、先日出された本も売れてますよね。」
「ええ、そこからの収入は我が社へ投資して貰うことになってまして、お二人への給料は本を買って下さった方々のお陰なのですよ。」
「そうでしたか、ならば安心して働けます。
 何とか自分の力で自分のポジションを確立し就職に繋げます。
 自分の仕事を自分で作り出して就職するなんて聞いたことが無いですから。」
「そのまま部長とか?」
「仕事の内容にもよりますが、新入社員は係長からぐらいが良いかと。」
「藤田さんはどう?」
「新会社に娘の名を付け会長に、花鈴姫に会うまでは娘に甘い社長かと思っていましたが色々考えておられるのですね。
 木の香がほのかに漂うこの本社の一室で大学卒業後に過ごせる様、頑張ります。
 中沢君の部下になるか上司になるかは分かりませんが。」
「お二人はライバルですか?」
「そうですね協力してことに当たりますが、どちらが上司になるべきかは共に働く内に見えて来ると思っています。
 共にこの地を気に入った、株式会社花鈴の仲間です。」
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