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調査-63 [花鈴-07]

「そうなんだ、ちょっと聞かれるままに答え過ぎてるかな、僕は。」
「見返りはどうなの?」
「見返りと言う訳では無いけど湯山さんと数学の話をするのは楽しいし、今後の研究テーマについて相談に乗って貰ってる。」
「そんなことをしながら大賢者の数学能力を計っているのね。
 どう、数学だけなら大学生になれそう?」
「どうかな、大学入試とは関係ないことにも取り組んでいるから一般の試験では駄目かも。
 それ以前に日本は飛び級制度が無いから、自分の目標としては人に認められる数学の論文を書くことなんだ、出来れば早い内にね。」
「それも湯山さんに相談してるの?」
「うん、その辺りが調査の見返りになるのかな。
 彼のここでの調査期間はもう直ぐ終わるけど、連絡は取り合うことになっているんだ。」
「双方にとってプラスになるのなら問題ないわね。」
「そっか、花鈴姫にはそう言ったことが無いんだ。」
「算数とかの教え方を考えているのは面白いからで、将来教師に成りたい訳ではないのよ。
 徳沢さん達が私の能力をどの程度理解してるのか、まだ分からなくてね。
 お父さんは、たまに徳沢さんと話してその理解度を調べているのだけど。」
「はは、調査に来てる学生を調査してる訳だ。」
「ええ、魅力的な学生がいたら会社にスカウトしたいそうだけど、今の四人はこちらから入社をお願いするレベルでは無いみたい、優秀な大学生でも視野が狭そうだとかで。
 社長が直々に声を掛けるに値する人がやって来る確率は低そうなの。
 国立大学の学生ならいきなりでも英語で自己紹介ぐらい出来ないと、って話してたわ。」
「がっかりしてた?」
「始めからあまり期待してなかったみたい。
 来年ぐらいからここでインターンシップの学生を受け入れることを考えての意識調査をさりげなくやっているだけだから。」
「インターンシップ?」
「大学生の企業体験みたいなこと、こんな田舎の本社で募集して、希望者はいると思う?」
「満員電車での通勤を考えたら悪くないよ、花鈴姫は過疎化の原因として、そこに仕事が無かったからと教えてくれたけど、ここには仕事が有るのだろ。」
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