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近衛予備隊-401 [高校生バトル-83]

 大学祭の核となっている学生達には我が国の文化活動を盛んにしたいと言う想いが有り、それがプログラムにも反映されている。
 例えば各地の学校でのミニコンサートやお絵かき会、収益は望めないのだが交通費自腹でも、学生達が協力して運営してくれている。
 楽器の生演奏を初めて聴く子もいるそうで、自分で演奏してみたいと思う子も…。

「詩織、中学生にも楽器に触れる機会を作って行きたいですね。」
「高校生は充分なの?」
「充分と言いますか…、近衛予備隊マーチングバンドは五編成に増えましたがイベントの報酬などで楽器を更新しているそうです。
 古い楽器は新人の手に渡るのですが、既に何人もの手を渡って来た物も有ります。
 楽器と共にその楽器を使って来た先輩からのメッセージが書かれたノートが手渡されますので雑には扱えません。
 ノートの中にはその楽器を寄付してくれた日本人からのメッセージが張られたものも有りまして。」
「大切に使っていれば長く使えるから、数としては足りて来たのね。」
「働いた給料で購入する子もいます。
 ただ楽器は大切に扱っていても壊れることが有ります、元々は中古ばかりでしたのでサックスなど構造が複雑な楽器では少なからず、自分の預かった楽器が壊れ落ち込む子は可哀そうでした。」
「修理は?」
「以前は知識が無くて簡単に修理出来なかったのです。」
「今も?」
「時間は掛かりましたが、遠江の楽器メーカー担当者協力の下、数名が修理技術を覚え簡単な修理は出来るようになりました。
 今も少しずつ古い楽器の寄付を頂いていますので、中学生に渡す体制は整えられます。
 どこの中学校からにするか検討する必要は有りますが。」
「壊れても大丈夫なのね。」
「ただ、修理出来ないまま眠ってる楽器も有りまして、修理担当者のスキルアップを図れたらとも。」
「出来そうなの?」
「遠江王国への留学となります。
 多額の費用を必要とはしますが、身に付けた技術を仲間に伝えてくれればと。」
「大学生?」
「ええ、近衛予備隊マーチングバンドで活動しながら修理を担当して来た人で、楽器販売部門の店員として働いています。」
「ジョンとしては留学では無く社員研修の一環として送り出したいのね?」
「はい、公費留学は費用負担に対する反発が有りそうです。
 また、公費留学の前例を作った場合、一人だけに止められなくなる可能性が有りまして。」
「そうね、楽器メーカーとの繋がりは有るから大丈夫だと思うわ。
 ただ、修理部門だと英語では難しいかも知れないわよ。」
「彼の顧客は日本人が多いので日本語の学習をしてはいるのですが、専門用語とかは難しいのでしょうね。」
「それは大丈夫よ、専門用語を覚えれば良いだけだから、真面目に取り組んでいたら何度でも出て来る単語でしょ。」
「あっ、専門外の人にとっては難しくても、その分野を学ぶ人にとっては関係無いのですね。」
「むしろそれ以外で苦労するかも。
 まあ遠江王国内の工場なら、うちのスタッフに動いて貰うわ。
 そうね、ついでに使わなくなった楽器を寄付して貰うキャンペーンをもう一度展開して、中学生による吹奏楽団を作って行きましょうか。」
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