バトル-361

「詩織、遠江王国でホームレスの人を受け入れる企画、準備は早かったが反応も早かったな。」
「ですね、お兄さまと相談したのはつい先日のこと、準備が早いのはボランティア社員が素早く動いてくれたからですが、遠江王国への移住を決断して下さった方々は今暮らしてる土地に何のしがらみも無かったみたいです。」
「意外と遠江王国のことに詳しかったのだろ。」
「はい、拾った新聞や週刊誌が情報源だったそうで、暇だからじっくり読んでいたのだとか。
　遠江王国に憧れが有り、環境を変えることに前向きな人達ですので生活改善は難しくないかも知れません。」
「住環境はどう？」
「普通に住める空き家を提供、生活に必要な一通りの物は企画スタッフが用意、食事の支援体制も整っています。
　入居の条件は身綺麗にすること、他の約束事は暮らして貰いながら相談して行くことになりました。」
「実際に暮らし始めてみないと分からないことが多いものな。
　就職に興味の有る人はいないのか？」
「そう言った話はしてませんので、まずは菜園造りみたいです、農業となると身構えてしまいますが自分達の食べる分ぐらいならと。
　自給自足を目指し、電気は兎も角、ガスの代わりに薪を使う生活を模索だそうです。」
「里山保全事業で薪を使っているから問題ないが、長期的に見て自立は出来そうなのかな？」
「そこは始めてみないと分かりません。
　スタッフは最悪の場合を想定し養って行ける人数の計算をしていますが、先々の事は全くの未知数です。
　これまでどんな人生を送って来られた方にせよ、これからのことですので。」