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山影静-04 [F組三国志-02]

 昼食は植物園で。
 食後、グループに関係なく、何となくみんな集まってだべってる。
 私はちょっと面白い花を見つけたから少し離れてスケッチ。
 あらっ、彼らは…。

「しかし、まいったね高木には。」
「ああ、結局、午前中ずっと一緒なんて有り得なくねえか?」
「先生、他の連中はいいんですかって訊いたら、問題ないの一言、俺たちゃ問題有りかよって突っ込みたくなったぜ。」
「適当に時間つぶすつもりが植物園巡りなんてな、おい森、ゲーセンはどうなったんだ?」
「知らないよ、俺だってちゃんと近くのゲーセン確認しておいたんだからな。」
「高校ってもっと自由じゃなかったのか?」

 企画に参加しなかった班とか、赤澤さんが話してたのは彼らの事か…、高木先生お疲れ様でした。
 あらっ、哲平さんと赤澤さんがこちらへ…。

「おう、森班は午前中どうだった?」
「ああ、哲平、高木とずっと一緒だったよ。」
「はは、先生と親睦を深めてたってことか。」
「深めたくなかったな、スキンシップなんてことを言い出してくるしさ。」
「スキンシップ?」
「あれは、やばいよな。」
「うん。」
「クラスにさ、ちょっと遊んでやった奴がいてさ。」
「うん。」
「なでてやって、友情はスキンシップからだよな~、って言ってやったんだよ、なあ富岡。」
「はは、森のなでるってのは多少痛いかも。」
「そいつ高木に話したみたいなんだ。」
「なんだ、お前らそんなことしてたのか。」
「へっ、俺は哲平と違って女子にもてないからな。」
「ふむ、それで、先生からは?」
「今度、俺とスキンシップするかってさ。」
「いいね~。」
「よかないよ、高木って柔道五段なんだぜ。」
「あっ、先生のスキンシップって柔道のこと?」
「ああ、それより何か用か?」
「うん、今日の遠足のまとめを作ろうと思ってね。」
「哲平、お前って意外と真面目なんだな。」
「はは、意外は余計だ。」
「で?」
「森班の様子も入れたいから、誰か協力してくれないかと思ってさ。」
「俺はパス、そうだ平岩がいいんじゃないのか。」
「え~俺かよ、メンドーなのは嫌だな。」
「俺だって面倒な班長やったんだからな。」
「って、何にもしてないじゃん。」
「ははは、まあ平岩で決定な。」
「え~。」
「オッケー、じゃあ平岩、また後でな。」

 あんなレベルの連中なんて、哲平さんたち、相手にしなくても良いのに…。

「あっ、山影さんここにいたの。」
「おい省吾、この絵、見てみろよ。」
「おお、いいね、写真とは全く違った良さがあるよな。」
「なあ、今回の、お真面目企画『発見、気付いたこと』ってさ俺はどうかなって思ってたんだ。」
「どうって?」
「何にも発見出来ない、気付かないかもってさ。」
「うん。」
「でも、午前の、お気楽企画とかを通して、沢山の発見があったと思うんだ、俺なりにね。」
「そりゃ、哲平が見る目を持っているからだな、山影さんもそう思うでしょ?」
「は、はい。」
「絵を描いてる人って、人が気付かないことにも色々気付いて、それを絵で伝えてくれるのだよね。」
「あっ、え…、え~と…。」
「どうしたの?」
「そうですね…、私…、当たり前のように絵を描いて来ましたが…、大切なことを忘れていた気がします…。
 ふふ、哲平さんの様に、私も発見したみたいです、赤澤さん、哲平さん有難う御座います。」
「そうなんだ、でも、なんで哲平さんで、俺は赤澤さんなんだ?」
「哲平さんは、シロクマの所で、俺のことは哲平って呼んでくれよって言って下さいましたので。」
「じゃあ、俺のことも省吾って呼んでよ。」
「ええ。」
「そうそう、勉強会のことだけどね、二人の了解はとったから、それから後、一人か二人増えるかもしれないけどよろしくね。」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします。」

 哲平さんも省吾さんも一緒にいると楽しくて、もっと仲良くなりたいと思う。
 勉強会では憧れの哲平さんと…、なんかドキドキが止まらない。
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