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構築-05 [シトワイヤン-04]

安藤さんとの話に、しばらく話を聞いていた清香が加わった。

「安藤さんは、バーチャル政党の可能性として、政治に関する教育を挙げておられましたね。」
「ああ、選挙権のない中高生だって党員になれるのだろ。」
「ですが真面目な大学生でも難しいと思うことが有ります。」
「その難しさを教えるという一面が有るが、中高生に説明出来る議論で有るべきだと思うんだ、有権者だってその能力は様々だろ、分かり易さは重要だと思わないか?」
「国会中継を見ていても、この人たちは何をしたいのだろうって思うことが有ります。」
「だろうな、だから国会の内容を市民政党で解説しても良いと思うんだ、めちゃくちゃ無意味な駆け引きで無駄に時間を使ってる事をね。」
「それは面白そうです、清香と俺の為にも実現したいですが、国会中継の著作権はNHKに有るのでしょうか。」
「そうだな…、その辺りを完全にクリアするには民放の力を借りるしかないのかな。」
「報道として検証ですか?」
「NHKと交渉するにしても、私には伝手がない、いや、本気で進めるのなら調べてみるかな。」
「安藤さんに負担をお掛けする訳には行きません、和馬と相談してこちらで進めます。」
「清香さんには何か当てがあるの?」
「党の宣伝広告を考えていますが、その一環として学生のチームを立ち上げかけています、その人達に提案してみます。
調べることが好きな人も少なからずいますので、可能性が見えて来たら、安藤さんにも報告させて頂きます。」
「あっ、市民政党はすでに学生の学習や研究に影響を与え始めてるという事なのかな。」
「はい、そちらも党サイトが本格運用開始となったら一気に動き始める、今は静かに準備と言いますか、熱く準備に取りかかってくれています。」
「安藤さん、俺達は着実に仲間を増やしているのです、大学生でも政治に興味のない人ばかりでは無いのですよ。
仲間になってくれた人達は、極左極右ではなく、普通の学生が安心して参加できるバランスのとれた政党の必要性を考えています。」

俺達の学習会は次のステップに移行していた。
学内でも目立つ存在の三人と俺が何をしているのかに興味を持った学生達は、思っていたより真面目に受け止めてくれ、市民政党若葉の党員にもなってくれた。
彼らは選挙権を得たものの、政治とどう向き合えば良いのか、また、良く分からないおじさんおばさんから一人を選ぶ、政党を選ぶと言ったことに馴染めてなかった。
偏差値の高い大学の学生だからと言って、政治について興味が有る訳ではない。
バーチャル政党の可能性は、政治と向き合う切っ掛けだと考えている、そう、その切っ掛け作りに、まだささやかでは有るが、成功しているのだ。
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