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高松加奈-39 [化け猫亭-11]

「佐伯さん、昨日、寮には大学生も遊び相手として来てくれて、子ども達は嬉しそうでしたよ。」
「ああ、学生から、子どもの人数が増えているのに気付かなくてすいませんでしたと謝られた、今後はお兄さん役の人数を見ながら調整してくれるそうだ。
で、メインの独身男性達はどうだった?」
「戸惑ってる人もいましたが注意事項を守って子ども達と向き合ってくれました。
面白かったのは、普段女性にモテないと話していた人が、随分子どもに懐かれてると思って見てたら、母親達にも懐かれまして、子どもの相手をする事で、外見だけでは分からない人の良さを気づかせたのかも知れません。」
「成程な…、このまま若手が子ども達にモテると我々の出番は無くなるのかな?」
「いいえ、子どもは多いです、私から離れない子もいました、アクティブな子を若手が相手してくれれば、今まで遠慮していた大人しい子にも甘えるチャンスが生まれるのですよ。」
「ある意味バランスが取れる訳か、差し入れは寮長にと決められているが、誰も寄って来なくなったらこっそりお菓子を、なんて考えなくても良いのかな。」
「ルール違反は駄目ですよ、子どもの人数の方が多いのですから、暇そうにしてたら子どもにとってはチャンスなのです。
まあ、父親から軽く虐待されてた子は、寄って来ませんでしたが。」
「そういう子は時間が掛かるのかもしれないね、寮が何時も愛に溢れる空間で有って欲しいと思うが…、子どもの前での喧嘩禁止と言うルールは守られていたかな?」
「昨日は特に、まあ、男性の前で恥ずかしい姿は見せないでしょう、学生もいましたし。」
「お兄さん役達の感想は?」
「慣れない事で疲れたとか、でも皆さん、また来てくれるそうです。
もっと長時間でも大丈夫、お風呂の時間まででも子ども達の面倒を見られますと話してくれた人もいます。
自分に子どもが出来たらなんて話も出て、独身男性として結婚や子育てについて話し合っていました。
私は経験談を少し語りましたが、思い返せば、あまり良い父親では無かったかと…。」
「その罪滅ぼしでお父さん役ですか?」
「あまり意識してませんでしたが、そうかも知れません、でも、子ども達は真っ直ぐ育ちまして。」
「奥さんに感謝ですね。」
「はい、長女は四月から化け猫亭のスタッフになりますので、その時は宜しくお願いします。」
「おお~、大下さんの娘さんがですか、それは楽しみです、どんな駄目親父なのか根掘り葉掘り訊くだけで随分楽しめそうだな。」
「勘弁して下さいよ~。」
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